二十四雨

"コッ コッ コッ コッ......


「――――....」


「What is this here?

(ここは、何なんだ―――?)」


船から降りると、征四郎は明かりの無い


古びた神殿の様な造りの建物の中を歩きながら、


前を進んで行くヨプの後姿を見る――――


「If you follow me, you'll know it,

(ついてくれば分かるよ―――)」


「(――――、)」


"コッ コッ コッ コッ....


"ザアアアアアアァァァァァ...."


「(水が―――...)」


"サアアアアアアァァァァァァ"


暗い、灰色でできた石造りの地面を


ヨプの後をついて歩いていると、そのすぐ脇に


先程自分達が通ってきた湖から流れ込んで来ている


水路の様な物が見える....


"サアアアアアアァァァァァァァァ....


「(・・・・・)」


水路から別の場所、周りに目を向けると


建物の天井は明かりが殆ど無いせいか、それとも


建物自体がかなりの広さのせいか


天井がどうなっているかまるで見る事ができない


「თე ახუა ნეი კუა ჰინგა ტეტაჰი კი რუნგა

(向こうで誰か倒れてるみたいだぞ)」


「!」


「თე აჰუა ნეი კეი თე კარანგა თე ვაჰინე მაკავე, 


 რომელიც კი ა კოე,

(赤い髪の女がお前の事を


 呼んでるみたいだ...)」


「(―――ッ...)」


「ე ოკიოკი ანა, კარე ე ტაეა ე აუ აპოპო აჰაკოა 


 კა ნოჰო აჰაუ კი კონეი მო აკე ტონუ ატუ,

(休め、いつまでもここにいても


 明日を迎える事はできない....)」


「W,what's this guy??

(な、何だ、コイツは―――??)」


"バッ"


「თქვენ არ გჭირდებათ 


 ამაზე ფიქრი, განაგრძეთ,

(考えなくていい 先へ進め―――)」


突然、どこからか声がし、征四郎が


自分のすぐ先にある柱の影を見ると


そこに"人影"が見える――――


「კაუა ე თინიჰანგატია, კეი თე ნგანა ია კი 


 თე თინიჰანგა ია კოე,

(騙されるな....あいつはお前を


 騙そうとしてるぞ...)」


「What is this guy?

(――――何だ、 ....この男は?)」


"ガサッ ガササッ"


柱の影にいる男は、征四郎 そして


ヨプが自分の側に来たのを見て


何か訳の分からない言葉を呟きながら


柱の影で地面に這う様に


こちらに向かって手を伸ばして来る


「Oh, He's Tia,

(ああ、彼はティーアだよ)」


「Tia? What is that?

(ティーア? 何だ、それは?)」


「ჰომაი კი აჰაუ, მენა კა კიტე კოე ი 


 თე კუაჰა ე აჰუ ატუ ანა კი თე აო კეი მუა, 


 ჰომაი რომ წამიყვანო მარამ,

(与えてくれ―――、 先の世界へと


 繋がる扉が見えるのなら、俺に、


 お前の智恵と光を分け与えてくれ―――)」


「っ・・・・」


「He,

(彼は―――、)」


地面を這う様にこちらに近付いてくる、


上半身に何も服を着ていない


腰に布だけを巻いた男を、ヨプは見下ろす


「He's dreaming in this place called 


 იო ატური, Tia,

(この、


 იო ატური(イオ・アトゥール=イオの水車)


 と呼ばれる場所で夢を見ている


 ティーアさ―――)」


「D,dream?

(ゆ、夢?)」


「აუ,

(おおおお....)」


「Yes, He's looking for a place in the ruins 


 where he can relax in search of a 


 temporary rain,

(そう、彼はこの遺跡の中で


 雫沫(しばつ)の眠りを求めて


 自分の精神が安らげる場所を


 探しているのさ....)」


「მოი, მო,

(雨を....雨を....)」


「・・・・」


何か訳の分からない事を呟きながら、男が


地面を這っているのを見て考えが止まる


「then, move on,

(―――それより、先に進もう)」


「O, oh,

(あ、ああ....)」


「აუ ოჰ,

(ぉオ.... ぉォオオオオ....)」


「Can we leave this guy alone?

(―――コイツは放っといていいのか?)」


「・・・・」


通り抜け様、地面を這っているティーアの顔を


ヨプがチラリと見る


「He's okay There are a lot of people 


 like him doing მედიტაცია(Wakaroo Aro) 


 in search of Rangiroa,

(大丈夫―――。この遺跡の中には、


 彼の様にრანგიროა(ランギロア=雫沫の眠り)


 を求めて、მედიტაცია(ワカロッォアロ=瞑想)を


 している人たちがたくさんいる―――)」


「A, A lot?

(た、たくさん?)」


「See, look around?

(ほら、周りを見てごらん?)」


「..... !?」


「・・・・・」


「・・・・」


「・・・・・」


ヨプの言葉に、征四郎が辺りを見渡すと


先程までは暗がりで意識していなかったせいか


目を凝らして遺跡の中に目を向けると、


様々な場所に今目の前で地面を這っている男と


同じ様な姿をした人影がいくつも見える.....


「It's not unusual here,

(ここでは、特に珍しい事じゃない....)」


「・・・・」

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