十九雨 「フォル・ストーン」

「(雨、か___________)」


【オイ! どこに行くんだッ!?】


【ああ、少し、風を浴びてくる】


"ガチャッ"


自分が食事を取っていた大きな葉の様な皿の上に乗った、


豆の様な物を善波は自分達が座っている藁(わら)でできた敷物の上に置く


【_______もう、いいのか?】


【ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ああ】


先程Speakerによってგადია(カディア)と呼ばれる意識の深層。


夢の様な世界に入ってから数時間程が経ち、アノンやヨプ そしてこの


ヌアの島の村人たちに用意された部屋の中で食事を取っていたが、


大分気分も落ち着いてきたのか周りの食事の輪から抜け、


征四郎は一人洞窟の外へと出る


【マ、チョト気分変エルのもイイんじゃナイ?】


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


"ザァァァァアアアアアアアアア...."


「(  .. .. .. ..)」


外に出ると、洞窟の入り口の辺りから雲が掛かった夜の空を


そのまま見上げだす.. .. . ...


「(  .. .. .. .)」


【This island of Nua is, raining all year round


 and there are few sunny days.

(この、ヌアの島は、一年中雨が降っていて


 晴れる日はほとんどないのさ。)】


「(雨島か┈┈┈┈… )」


"ザァァアアアアアァァァァァァァ....


頭上から降り注ぐ、黒い雨粒に目をやりながら


征四郎は暗い、雲がかかった空を見上げる


「It looks like, Wewete-ua today

(どうやら、今日は、'ウェウェテ・ウア'みたいだね)」


「Yop,

(ヨプ....)」


「Your headache is gone?

(頭は治った?)」


"バチャッ"


自分が立っていた洞窟の入り口の側から、先程アノンと一緒にいた褐色の肌。


そして顔や体中に刺青(いれずみ)を施したこのヌアの島の少年


'ヨプ'が出てくる


「Wewete-ua,?

(ウェウェテ・ウア....?)」


聞きなれない言葉を耳にしながら、自分の胸の高さ程のヨプを


征四郎が見下ろす


「Well,

(そう┈┈┈┈…  )」


"ザアァアアアアァアアアアァァァァァ.... 


「This Nua's island is,

(この、ヌアの島はᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ   !)」


青み懸かった瞳で、ヨプが頭上の雨雲を見上げる


「From a long time ago, thanks to Atua's grace, 


 it has beenraining all year long without interruption,

(遥か昔から、ატუა(アトゥア)の恵みにより、一年中途切れる事が無く


 雨が降り続けてるのさ___________)」


「Atua,? God or somethig?

(アトゥア...? 神か何かか?)」


"ガサッ"


「Sure,

(そう┈┈┈┈… … …


"キラッ"


「(...."ガラス玉"か?)」


「We, the Hanut Maninga, have benefited from Atua and have


 continued to live on this island as part of their lives,

(僕たち、ハヌト・マニンガ族はアトゥアの恩恵を受け、それを自分達の


 生活の一部として、この島で暮らし続けてきた・・・・)」


"カチャ"


手に持っていた不思議な色。 そして形をしたいくつかの宝石の様な物を


手の中でカラカラと言わせながら、自分よりもかなり背の高い征四郎を


ヨプは見上げる


「What the,?

(・・・それは何だ?)」


「Oh,this,?

(ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ああ、これかい?)」


"カシャ....


手にしていた石を手に取ると、ヨプはそれ自分の頭上に翳(かざ)す


「This is Kohatu-Whity, It's called Fol-stone for


 Outer island, It is necessary to keep the Proa


 performed by Speaker on this island in our memories,

(これは、 კოჰატუ თეთრი(コハトゥ・ウィティ)。


 島の外の人間には"フォル・ストーン"と呼ばれる_____________


 この島でSpeakerによって行われたპუროა(プロア)を僕たちの思い出の中に


 残しておくため、必要な物なのさᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


「Those stones,?

(┈┈┈┈∙∙∙∙その石がか?)」


"カシャ"


「Yes, The dream world, Cadia, means to


 live for us Hanuts, That's why it exists,

(そうᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  夢の世界、カディアは僕たちハヌート族にとって


 生きるための意味.... 存在するための理由なんだ˛˛˛˛˛˛)」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ザァァァアァアアアアアアァアア.....


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ザシャッ ザシャッ ザシャッ ザシャッ


「H, hey,

(お、おい....)」


特に傘を差す訳でもなく、洞窟の入り口から出て行こうとするヨプを、


後ろから征四郎が呼び止める


「Rain are rushing,

(————大分雨が強いみたいだが....)」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ザシャッ"


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


何も答えず、ヨプはそのまま先へと向かって歩いていく.. .. . ..


「H, hey,?

(お、おいᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  !)」


「Follow me,?

(ついて来るかい—————…?)」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ   !」


"ザシャッ"


「(  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


"ザッ"


「(  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


"ザシャッ ザシャッ ザシャッ ザシャッ....


「(————どこに行くんだᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ?)」


何も言わず、先を歩いていくヨプの後ろをそのまま傘を差さず後を追い、


洞窟の外へと出て行く_____________


「(  .. .. . .. ..)」


"ザシャッ ザシャッ ザシャッ ザシャッ...."

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