十六雨 「忠告」

「な、尚佐┈┈┈┈…?」


「・・・・?」


驚いた表情で、征四郎がカウンターに座っている男の前で呆然と立ち尽くす


「何だ? そんなに変わった名前か?」


「い、いや、 ┈┈┈┈∙∙∙尚佐、しかも、叶生野....」


「┈┈┈┈、?」


「……叶生野、尚佐...」


「・・・・?」


妙な表情を浮かべている男を気にせず、征四郎は"尚佐"と名乗った男を


無躾(ぶしつけ)に見ながら、考え出す.. ... ..


「(尚佐・・・? しかも、"叶生野"だと・・・・?)」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


叶生野一族の長。 尚佐の名前が出た事に目の前にいる男に


一つ、考えが浮かぶ


「....じゃあ、アンタは、叶生野財閥の人間なのか?」


「....ああ、叶生野を知ってるのか」


「いや... 尚佐御大と同じ名前とは....」


「尚佐御大?」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  ?」


「いや、尚佐って名前は、御大と同じ名前じゃないか...?」


「┈┈┈┈∙∙∙∙?」


何を言っているか分からないのか、征四郎の言葉に


尚佐は目を細めながらグラスを傾ける


「いや、叶生野、尚佐は前代の御代___________」


「"ミダイ"?」


「...知らないのか?」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ   」


"カランッ"


グラスに入ったウイスキーを傾けながら、尚佐はまるで思い当たる事が


無いのかただ何も喋らず、カウンターの奥に目をやる


「....アンタは、叶生野グループ何だろう?」


「...ああ、叶生野財閥の人間だが...」


「_________だったら、尚佐御大、ましてや同じ名前なんだから、


 御大の事を知らない筈は無いだろう...」


「何を言ってるんだ、君は?」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「I heard the train that connected to future 


 is coming to go from next station,

(未来へと繋がる列車が次の駅から出るらしいぞ....)」


「?」


"バッ"


「(・・・・?)」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ どうしたんだ?」


「いや┈┈┈┈…」


「何かあったのか?」


「(声が聞こえた様な気がしたが...)」


突然バーの中から、よく分からない話し声が聞こえてきたような気がしたが


薄暗いせいか奥がどうなってるかは見えない


「さて、と」


"ガタッ"


隣のカウンターに置いていた帽子と上着を手に取ると、


尚佐は足早に席から立ち上がる


「それじゃ、そろそろ失礼させて貰うよ」


「∙∙∙∙∙∙これから、どこかへ行くのか?」


「....どうだろうな」


「??」


"バサッ"


上着。そして洒落た灰色の鍔(つば)付きの帽子を被ると、


尚佐が振り返る


「┈┈┈…君も、女にモテたいならそんな野暮ったいスーツじゃなく、


 もう少しマシな服でも着た方がいいんじゃないか?」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ スーツ?」


「_________それじゃあな」


"カランッ"


「("スーツ"...)」


バーの扉を開け、そのまま外へと尚佐は出て行く....


「うおっ 雨か...」


"ザアアアアアアアァァァァァァ...


「———— よし、走るか」


"バシャッ バシャッ バシャッ..."


「(スーツ...)」


今自分がスーツを着ている事に征四郎は気付く.....


「(   ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」

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