十五雨 「再会」

「(バーか… … …?)」


"ガチャンッ!"


「(  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


"コッ コッ コッ コッ....


「(イギリスに似てるなᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  )」


"カッ カッ カッ カッ...."


「(  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


広めのバーの中を歩きながら征四郎は、ゆっくりと、自分の__________


「┈┈┈┈…酒を飲みに来たのか?」


「   !?ッ だ、誰だ?」


"ガタッ"


「おいおい、そんなに驚く事はないだろう?


  ・・・見たところ、君は、同じ'日本人'。 みたいじゃないか?」


「に、日本?」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ガタッ"


突然視界に入って来た男は、自分が座っていたバーのカウンターの椅子から


立ち上がると、少し離れた場所から征四郎の事を興味深そうに覗き込む....


「・・・助かったよ」


「________助かった...?」


"カラン"


カウンターの上に乗せられたグラスの氷を指で軽く弾くと、男は


再び征四郎に振り返る


「私も、この倫敦(ロンドン)に連れて来られて、訳も分からず


  一人で酒を飲んでいた所だ....」


「ロ、倫敦?」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ そうだ。 イギリスの。 ...知らないのか?」


「い、いや、それは知ってるが....」


自分より少し低い場所に立っているせいか、このバーの中自体が


暗いせいかあまり判別がつかないが、どうやら男は


自分と同じ程の背丈の様にも見える


「君は、どうやってここに来たんだ・・・?」


「・・・・どうって... 」


目の前の男に問いかけられるが、今何を聞かれているのか、


その事に対する答えは無い


「....あ、アンタは、日本人なのか?」


「—————....」


"ガタッ"


軽く一瞥(いちべつ)すると、興味を無くした様な顔つきで男は


再び自分の脇にある椅子に座り、氷が溶けだしているグラスを傾けだす


「そうか、君も、分からないか....」


"カランッ"


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  ?」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ジジッ ジジジッ"


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  !」


すでに照明が切れかかっているのか、店内の隅の方に置かれた看板が


点いたり消えたりしている


「....まあ、こんな状況だ。 考えても仕方ない。」


「・・・・・」


「君も、飲むか?」


「あ、いや....」


男がグラスを差し出してくるが、目の前の酒のグラスより今


自分が置かれている状況の方が気になり出す


「酒が、大分好きみたいだな┈┈┈┈…?」


"カラン"


興味が無いのか、まるで表情を変えず男はグラスを片手に


カウンターのテーブルに向かって黙って顔を俯かす.. .. ...


「....考えても仕方ないだろう? 私、そして、君___________


 名前をなんて言ったか....」


「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 征四郎だ」


「征四郎┈┈┈┈… 」


"カララッ.....


名前を聞いて特に思う事も無いのか、再びグラスを傾けると


男が口にしていたウィスキーが全てグラスから消え


グラスの中には溶けかけた氷だけが残る.. .. .. .


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「アンタは、何て┈┈┈… … …」


「....私か?」


"カランッ"


酒が無くなったグラスの氷をカラカラと言わせながら、男が向き直る


「私は、尚佐、 '叶生野 尚佐'だ」


「な、尚佐┈┈┈┈…??」

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