第46話 私が守ります
2週間が過ぎても婚約が帝国に認められない事に、アンナは焦っていた。
毎晩ロイドに媚薬でのセックスを強制されていたが、3日前から「妊娠しやすくなる」と、白い錠剤を飲まされていて、それを飲むと興奮状態になり、ロイドに抱かれている高揚感にどんどん心が満たされていく。そう、麻薬を飲まされているのだ。
今日も媚薬と麻薬でトロトロになったアンナに、目隠しをして耳元で「俺を想像して」と囁くと、耳栓で両耳を塞いだ。
指を鳴らして浴槽の扉を開けると、ロイドと似た体型をしている烏の頭をした男が全裸で入って来た。
「よく来てくれた!歓迎するよ、魔界の住人よ!」
「ご招待いただきありがとうございます。ご所望の妖精族の娘を連れて参りました」
烏男が手に持っている鎖を力強く引っ張ると、後ろにいた裸姿でびしょ濡れの少女が引っ張られて勢いで、投げ出されてしまった。
その少女は綺麗なピンクゴールドをした絹糸の様に柔らかく真っ直ぐな長い濡れた髪が、透けてしまいそうな白い肌に纏わりついてイヤラしい。濡れた前髪から覗く大きな金色の瞳から流れる涙が、熱って真っ赤になっている頬を流れると、ダイヤモンドになって床に転がっていく。その姿にロイドは征服欲を刺激されて興奮していた。
「ああ!素晴らしい!
「はい。その中でも、純潔の少女でございます。既に媚薬を飲ませていますので、直ぐにご堪能出来ます」
「良いぞ!お主も思う存分楽しめ!」
ロイドは少女の前に跪き、指で顎をグイと上げてペロッと唇を舐めた。
「柔らかも良いし、甘くて美味しいな。いいか、儂の事はブラームス様と呼べ」
「……ブラー、ムス…様」
「そうだ、お前の名前はアンジェリーナだ」
――――――――――――――――――――
少女の泣き叫ぶ声とアンナのよがり声が通路まで響き渡っていて、執事や侍女達は怪訝な顔をしていた。
そこに、ローブのフードを深々と被ったバン・ビルバルットが現れた。
寝室の隣にあるメイドの部屋には、若いメイドが涙目で耳を塞いで床に座り込んでいた。
バンはもしもの為にと連れていた女性の魔法師をメイドの隣に座らせると、女性は優しくメイドの背中を撫でた。
「大丈夫ですか?」
「もう…、もう、嫌です…。助けて、下さい」
メイドは涙を流しながら女性に抱きついた。
「……いつも、こうなの?」
「…、今日は、特に、酷いです。いつもは、シルベスタ様とアンナ様だけなのに……」
少女の大きな叫び声が聞こえると、メイドは恐怖で身体が震えて始めた。
「……私が、貴方をここから、出してあげる!」
メイドを抱っこして立ち上がると、部屋の外にいるバンの元へ向かった。
「ビルバルット副総長!この子は私が保護します!」
「分かった。その子を連れて帰りな」
「ありがとうございます!」
2人の後ろ姿を見ながら「はあ〜」と、深くため息を吐くと、メイドの部屋に入り魔石を取り出した。
「とりあえず、声だけでも証拠として保存しとかないとね」
部屋の端っこにバレない様に魔石を隠した。その時に「ブラームス様」と泣き叫ぶ少女の声が聞こえると、苦虫を噛んだ様に顔を顰めた。
「やっぱり……」
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