第44話 地獄の始まりだよ

ここは…、何処だ……。

真っ暗で何も見えない……。


ロイドは暗闇の中を彷徨っていた。


さっきアトバシュに腹を突かれて……、俺はやられたのか?

オリヴィアは、無事だろうか?


すると、遠くに金色に煌めき温かい光が見えた。


あれは!オリヴィアだ!


その光に向かって走って行くと、いきなり後ろから羽交い締めされて動けなくなってしまった。


「お前の身体は儂が貰った」


「その声はっ!」


―――――――――――――――――――――

――3ヶ月後――


アンナは今日もシルベスタ邸の庭をロイドにエスコートされて歩いていた。


アンナはようやくゲームのシナリオ通りに、ロイドルートに入った事に幸せを感じていた。


転生したのに気付いたら幽閉されていて、死んでるはずのオリヴィアが生きている、ゲームのシナリオとは違って驚いたけど、そこからロイドと神殿で倒れているのを発見されるまでの記憶が無いけど、ロイドはオリヴィアの記憶が全部無いから「ゲームの強制力でリセットされたのかも」と、考えていた。


スキルは無いままだけれど、ポケットに入っていたロイド専用のハイポーションと魔力回復剤のレシピが書かれた紙を元にポーションを作り、ゲームのシナリオと少し違うが、ロイドにオリヴィアとの記憶が無いおかげて、スムーズにイベントをこなしていった。


そして、今日は告白イベントで「皆既月食を見ながら初めてのキス!」の日だ。アンナが1番好きなスチルでもあり、ゲーム通りに薔薇園のベンチに2人で座りながら、大きな満月を眺めていた。


「ロイド!月食が始まったわ!」


「そうだね、始まったね」


「うわー!お月様がどんどん欠けて行くわ!」


「ああ、本当だ」


「もう、ロイドったら!私ばっかり見てて、月食見てないじゃない!」


「はしゃぐアンナが、とっても愛しいから」


「愛しいって…」


ロイドは照れて真っ赤になっているアンナの頬に左手を添え、右手の指で瞼と鼻と頬を撫でていく。


「この瞳も、小さくて可愛い鼻も、照れて真っ赤になった頬も、全てが愛しい」


「ロイド……」


「俺の名前を呼ぶ、ぷにぷにの口も愛おしい」


セリフもゲームそのまま!ロイド様とやっとキスができるのね!


そう興奮していると唇を指で撫でてる人差し指が、口の中に入ってきて舌をスリスリと撫でた。


「ああ、この口と舌で俺のを貪り食うアンナを、毎日創造してたよ」


「っん、私も、してた…」


「アンナは本当に可愛いね」


アンナを膝の上に座らすと、強く抱きしめながら口に入れてる指を抜くき舌を押し込んで上顎や舌を蹂躙していく。ゲームでは触れ合うだけのキスだったのに、激しいキスをされてビックリしたが、前世の土屋美咲だった頃は彼氏以外にセフレも数人いたほどにエッチが好きだったから、直ぐに舌を絡ませて答えた。


ロイドの手がワンピースのスカートの中に入ると、身体の中に何かを入れられた瞬間に熱くなって疼き始めた。すると、ロイドは豹変してアンナのワンピースを引きちぎった。


「処女は痛がって泣くからな、媚薬で乱れさせるのが1番だ」


「媚薬って!!ッアア!!」


アンナが期待していた「皆既月食を見ながら初めてのキス!」イベントは、皆既月食をバックに薔薇園で媚薬で初めてのエッチになってしまった。


待機していて目撃してしまった侍女は、2人の皆既月食をバックに野獣みたいに貪る様な行為は、まるで悪魔の儀式の様で恐怖し逃げ出してしまった。


そして、物陰から赤く光る瞳が2人を見ていた。


「アンナ、いや、土屋美咲。これから、地獄の始まりだよ」

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