第31話 彼の方も
オリヴィアが、嫉妬して怒ってる!しかも、私のロイドって!
ロイドは嬉しさに破顔していた。身体を幾度と重ね合わせても、「好き」「愛している」の言葉を言ってくれなかったオリヴィアが、ロイドの身体を触ったアンナに嫉妬しているのだ。初めて嫉妬してくれた事に、ちゃんと愛されていたんだと感じながら、「私のロイド」と、言ってくれたのが嬉しくて堪らなかった。
「もう面倒だから、殺しておこうか?」
白く輝く光の聖剣を顕現させながらアンナに近付いていくオリヴィアを、ロイドは後ろから抱きしめて首筋に唇を落とした。
「あんなゴミに、オリヴィアの手を汚す事ないよ」
「アイツは、汚い手でロイドに触った!ロイドに触って良いのは、私だけだ!」
「そうだよ、オリヴィアだけだよ」
「ロイドは私の婚約者だ!他の女なんかに、触って欲しくない!私の大事な!っつ!」
オリヴィアは自分が発した言葉にハッ!として、我に帰ると、なんて事を、言ってしまったんだ!と、恥ずかしさが爆発した。
わわわわわー!!ヤバい!何言ってるのよ、私は!
「俺も、婚約者のオリヴィアにしか、触って欲しくないよ」
抱きしめられている腕に力が入り少し苦しくなるが、ロイドを感じられて嬉しく思ってしまう。そんな自分の事を、ロイドと一緒で変態だな、と、思った。
「それでは、アンナ嬢を神殿に連れて行きます」
知らぬ間にガブリエルがアンナの両手を拘束魔法で縛り、腕を掴んで立たせていた。壁に叩き付けられたアンナの口から一筋の血が垂れていた。オリヴィアの怒りを込めた風魔法だ、内臓にダメージを受けているだろう。
「まてガブリエル!私はまだ、アンナを調べていない!それと、神託の内容を教えろ!」
「それでは、オリヴィア様。ウエイザー公国の神殿にお越し下さい。さすれば神託をお教え致しましょう」
「ウエイザー公国だと!どれだけ距離があると!」
「時間が有りませんので、また、お会いしましょう」
ガブリエルは司祭服の内側から巻物を取り出して広げると、書かれている魔法陣に聖力を込めた。すると、ガブリエルとアンナの周りに白い光の柱が立ち上がった。
「オリヴィア様、神殿でお会いしましょう。彼の方もお待ちしておりますよ」
「待て!ガブリエル!」
オリヴィアはガブリエルを捕まえようと手を伸ばしたが、間に合わずに2人は白い光と共に消えてしまった。巻物に書かれた魔法陣は神殿迄の転移魔法陣だったのだ。
オリヴィアは膝から崩れ落ち両手を床に付けた。そして、ガブリエルの言った「彼の方」とは誰かと、考えたが、思い付くのは1人しか居なかった。
「オリヴィア…」
項垂れながら考え込むオリヴィアの背中を優しい摩りながら、ロイドも同じ事を考えていた。
「アイツの言った彼の方は、もしかして……」
「ああ、アーロンクロイツだ」
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