第26話 廃嫡してください
ルミタス帝国のとある田舎の農村に1人の司祭が訪れた。
年配のシスターが1人と数人の孤児達が暮らしている、古びた小さい教会に20年振りに訪れた司祭に村人は歓喜しお祭り騒ぎになった。
教会には司祭からの祝福を貰いに、子供連れの親子が列をなしていた。
そして、司祭の前に女の子を抱いた女が跪ついた。
「先月生まれた、娘のアンナです」
ああ、コレが私の大聖女様の名誉を傷付けて、陥れた悪女か。
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ラウル王国の王城で第3王子クリスティンが、ルミタス帝国の皇城から姿を消して行方不明になったと騒ぎになっていた。
会議室で国王、第1王子、宰相、宰相補佐官、外交官、騎士団総長、魔法師総長が集まり、帝国で起きた出来事の情報を精査していた。
クリスティンが平民の女に懸想していた、皇城で平民を囲っていた、皇太子と数人の男達と一緒に平民の女と色情に溺れていた、公爵令嬢に無実の罪を着せて衆人環視の中断罪した、魔法師隊総長ロイド・シルベスタと戦闘していた。
これがラウル王国に齎された情報だった。
クリスティンの護衛騎士と従者に確認を取っても、間違い無いとの報告に、国王はクリスティンの失態を認めざるを得なかった。
「平民の女なんかに、うつつを抜かした殿下を、庇う事は出来ません!」
「愚弟が…、よりにもよって帝国でやらかすとは」
「陛下!直ぐにラウル王国は、この件については関与していないと、示すべきです!」
「我が国の魔法師を束ねても、シルベスタ総長には敵いません。瞬殺です。帝国と敵対する事は、ラウル王国の破滅を意味します」
「陛下、宰相として第3王子の廃嫡を進言します」
宰相の言葉に皆が国王に注目した。独立国家ではあるが、小さな一国家が帝国に意を申し立てる事など出来ないのだ。
「うむ、クリスティンを廃嫡せざるを得ないか」
国王がクリスティンの廃嫡を告げようとした時、扉が勢いよく開いた。バン!と、大きな音に何事かと、全員が扉の方を向くと、廃嫡を決めたクリスティンが立っていた。
「父上!私、第3王子クリスティン・ラウルを廃嫡して下さい!」
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