第25話 わたし、は…
「いや!ロイド様!」
泣き叫ぶアンナを無視して牢から出ようとすると、パリーン!と、何か割れた音が聞こえた。
忘れもしない、肌に纏わりつく様な気持ちの悪い魔力を感じて振り向くと、アンナの胸のあたりから黒い煙が立ち上がりスッと消えていった。
煙が消えると、アンナは呆けた顔をしてオリヴィアとロイドを見た。
「……ここは、何処?」
「えっ?」
「あ、あなた達は、誰、ですか?」
何かが起きたのを感じでオリヴィアはロイドから離れると、ベッドの上で青い顔をしながら怯えながら震えているアンナの隣に座わった。
「大丈夫、怖がらないで。私はオリヴィアよ、あなたは?」
「わ、私?わたし、は……」
青い顔をしていたアンナの顔が真っ白になり、ぼろぼろと涙が溢れ出てきた。
「わから、ない……。わたし、は……」
「……何も、思い出せないの?」
「わから…ない……。なに、も……」
意識を無くして倒れそうになったアンナをオリヴィアは支えると、静かにベッドに寝かせた。
「オリヴィア、あの黒い煙は…」
「ああ、アーロンクロイツの魔力だ。だか、一体なぜ消えたのか…?」
「アイツの胸にあった赤い石が、この女にもあったのか?」
「…とりあえず、この女を別の部屋に移してから、調べてみよう」
「外にいる警備兵に、貴族を幽閉する館に連れて行くように言ってくる」
「ああ、頼むわ」
ロイドが出て行くと、アンナが着ているシャツのボタンを一つ外して少し捲ると、心臓の辺りが少し窪んでいて、小さな赤い石の破片があったので取ろうと指をふれかと、黒い煙となり消えていった。
「アーロン、貴方は何をしたいの?」
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