第24話 家に帰ろう
扉が開いている牢から聞こえてくる言葉にロイドは殺気を抑えられずにいた。
まったく身に覚えの無いアンナとロイドの恋物語を、愛しいオリヴィアに聞かせているのに怒りが湧き上がり、今すぐ切り刻みたい気持ちになっていた。
それもそうだ。アンナが話しているのは前世でプレイしていた乙女ゲーム「私のシンデレラストーリー」の話であって、現実の話では無いのだから。
なによりも許せないのが、師匠である前総長ブラームスを大魔道士で、魔神を召喚するのにオリヴィアが生贄にされたと、2人を蔑める事を言うのだ。
そもそも魔神アルゴルアムはオリヴィアと一緒に討伐したのだ。ロイドは炎の魔神が持っている魔剣が欲しくて、30歳の誕生日プレゼントとして、オリヴィアに一緒に討伐に付き合って欲しいとお願いし、2人で討伐したからだ。
俺のオリヴィアに「運命の恋人」だの、「傷付いた心を癒やしてあげた」だの、「愛でエリクサーを作りあげた」だの、訳の分からない事を言うな!
錬金スキルを持っていたら、検査で判明した段階で魔法塔の所属になる!それに、魔法塔の錬金術師でない普通の平民がポーションを作るのは違法だ!この女は色々な意味で危険だ!
オリヴィアの為に殺したい衝動を抑えているが、結婚式でアンナに愛を誓った話を聞いた瞬間にプチっと、ロイドの堪忍袋の緒が切れた。
殺気を放ちながら牢の中に入ると、ベッドの上で涙を流しながら自分を抱きしめているアンナを、憐れみの目で見ているオリヴィアがいた。
ロイドに気が付いたアンナは満面の笑みになり「ロイド様!」っと、叫んでベッドから飛び降りようとしたが、オリヴィアがベッドの周りに張った結界に衝動して尻餅をついた。
「ロイド、入ってくるなと…っ!」
話しているオリヴィアを後ろから抱きしめると、右手で顔をくいっと、横に向かせるとロイドはオリヴィアの唇に唇を押し当てた。
「ッ!!」
いきなりの事に目を見開いて驚くオリヴィアの胸を抱き締めている左手で優しく揉みながら、舌を口の中に押し込んでオリヴィアの舌を絡ませる。
「ロ、ロイド様!何を!」
ロイドはアンナの叫び声を無視してオリヴィアの口内を蹂躙する様に激しく舌を動かしていく。涎を垂らしながら頬を赤らめさせて、感じて涙目になり色っぽくなったオリヴィアを今すぐ抱きたいと思った。
舌を口の中から出すと、「ロイド……?」色っぽい顔をしたオリヴィアに見つめられ、下半身に熱が走る。
こんな愛らしい顔を見せたくないとオリヴィアの身体を反転させて抱きしめ、アンナを睨みつける。
「貴様は誰だ?」
「ロイド様?」
「気安く俺の名前を呼ぶな、切り刻むぞ」
「や、優しいロイド様が、そんな事を言うはずがないわ!やっぱり、その女に騙されているのね!」
「オリヴィアを侮辱するのか?」
ロイドが凄まじい殺気が放たれて、オリヴィアの身体がビクっと跳ねた。これはヤバい!っと、オリヴィアは感じて、身体に挟まれている手を伸ばしてロイドの頬をさすった。
「落ち着けロイド、あの女は妄想の住人だ。話す事はもう無いから、家に帰ろう」
自分の頬をさするオリヴィアの手に手を重ねて、見上げて見つめる愛しい顔の額に唇を落とした。
「ああ、帰ろう、オリヴィア」
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