第23話 俺だって休みたい!

「シルベスタ、いくらオリヴィア様に受け入れてもらったからって、無茶はさせるな」


皇帝ベンジャミンの執務室に2人がやって来たのは、あれから4時間後の事だった。既に日付けが変わり夜も深いので、シルフィは帰ってしまっていた。


ロイドの魔剣での興奮状態は収まっても、オリヴィアと愛し合っている興奮状態は一回じゃ収まりきらなかった。なにせ、100年振りに愛し合ったのだから。


まだ興奮は収まってないが、オリヴィアの身体が限界なので我慢した。


身体が動かないオリヴィアはソファーに座るロイドの膝の上に乗せてられて、横抱きにしながら抱き抱えて

いる。

自分の身体にヒールをかければ良くなるが、ロイドをまだ感じていたくてそのままにしている。そんなオリヴィアが可愛いくて仕方なくて愛しいくロイドは感じていた。


「これでも我慢した」


「……そうか、この件が解決したら、お祝いに一周間休みをやろう」


「一か月」


「いや、それは困る」


「二カ月」


「増えてる!」


「さんかげ……」


「分かった!一カ月休むといい!」


「……ロイド、レイを虐めるな」


「俺だって、働きたくないんだ」


「まったく、それよりチビレイ。地下牢にはいつ行けるんだ?」


ベンジャミンは机の引き出しから銀色をした3センチ程の細い棒を取り出し、2人が座る向かいのソファーに座ると、「これが鍵です」と、ローテーブルの上に置いた。


オリヴィアが取ろうと手を伸ばすと、ロイドがひょいっと銀色の棒を手に取った。


「これは…、特殊金属か?」


「そうだ、地下牢の扉は全て、この金属と同じ物で作られている。扉の中心にある穴に、この棒を差し込むと、扉の鍵の形に変化して扉が開く仕組みだ」


「なるほど、それで、何故オリヴィアが地下牢に?」


「私が頼んだんだ。あの女の話を聞けば、アーロンクロイツの動機が掴める」


「なら、俺も一緒に行くから」


ロイドはそう言うと、銀色の棒をズボンのポケットに押し込んだ。


「な!お前はあの女に、狙われている可能性があるんだ!」


「中には入らないで外で待ってるよ。それに、この鍵はオリヴィアには持てないよ。そうだよね、陛下?」


「ああ、その鍵はしか持てない。オリヴィア様は触れる事も出来ない」


「チビレイ…、なら何故ロイドが、持てるんだ?」


「あれ?オリヴィアには話したはずだよ?俺はベンジャミンの叔父さんじゃん!」


「……確かに言ってた。レイが生まれた時に甥っ子が生まれたって喜んでた」


そうだった!その時に皇弟だと知ったんだ!100時以上も前の事なんて、忘れてるわ!


目を広げて思い出した顔をするオリヴィアに「忘れん坊さんたな〜」と、ロイドは愛おしそうに頬を撫でると、むすっと拗ねた顔をするオリヴィアに、より愛しいさが増した。


ベンジャミンが目の前にいるのにイチャイチャする2人に(俺は何を見せられてるのか)と、遠い目をしながら「ははは」と、乾いた笑い声を出した。

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