第22話 先に死なないでね

大聖女の白い詰襟ジャケットのボタンをロイドはゆっくりと外していく。1つ外す度に真っ赤になった顔で可愛く反応してくれるオリヴィアを見たいからだ。


頬を赤らめながら愛しいそうに見つめてくるロイドの顔に、やっぱりロイドの顔は好きだなと、オリヴィアは思い余計に恥ずかしさが増した。


「……恥ずかしいから、早く終わらせるぞ」


「真っ赤になって、オリヴィア可愛い」


「うるさい!ロイドはやっぱり変態だ!」


「俺が変態になるのは、オリヴィアだけだよ」


「っ!!変態じじい!!」


「変態じじいだよ、だから、キスしていい?」


「な!なに言って!」


「昔はしてくれたでしょ?」


「あ、あの時は、婚約者だったし…」


「今も婚約者だよ?」


「……」


「いや?」


嫌じゃないから困る…。落ち着かせる為だけど、キスをしたら、戻れなくなる…、けれど…。


聖力が多い聖女と魔力量が多い皇族は長生きする。聖女で弟子のシルフィは10歳、皇族のベンジャミンは5歳の時に最後に会って以来だったが、2人とも中年になっていた。オリヴィアは20代のままだ。


オリヴィアは膨大な聖力を持っているから、普通の人間の何倍も長生きするし歳をとるのも遅い。だから、今までも何人もの人を見送って来た。


だから、誰かと一緒に生きるのは無理だと諦めていたのだ。ロイドもそうだと思い、愛していたが婚約破棄を願った。

けれども、100年振りに会ったロイドは全く変わらず若いままだった。


ロイドも魔力が多いが自分程ではないと思っていたのに、全く歳を取っていないところが、魔法もオーラも強くなって魔力量も増えていた。


だから思ってしまう、ロイドとなら同じ時間を生きれるのではないかと。

そして、ロイドから離れる事は出来ないのではないかと。


「……ロイドは、私でいいの?」


「初めて会った15歳の時から言ってるよ?オリヴィアがいいって」


「……うん」


ボタンを全て外してジャケットを脱がすと、袖の短い薄いカットソーしか着ていなく、恥ずかしがって両腕で胸を隠すオリヴィアが堪らなく色っぽく感じた。


オリヴィアの頬を両手で包み込んで、ロイドは額をくっ付けるとアクアマリンの瞳を見つめた。


「俺はオリヴィアより先に死なないよ」


「本当に?」


「ああ、本当に。だから、キスしていい?」


「私より先に死なないでね」


オリヴィアはそう言うとロイドの唇に唇を合わせた。


「ああ、愛してるよオリヴィア、もう離さないから」


ロイドはオリヴィアの唇を貪るようにキスをした。


そして、100年振りに身体を交わせ愛し合った。

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