第19話 姉様…
木々が生い茂り、動物の気配すら無く、小鳥の囀りさえ聞こえない山奥に、古びた小さな小屋があった。
小屋の外で真っ白な髪をした女の子と、真っ黒な髪をした男の子が魔法の練習をしていた。
「姉様……、姉様も、僕を呪いの子供だと思う?」
「バカ!可愛い弟にそんな事思うはずないでしょ!」
「じゃあ、なんでお父様もお母様も僕に会いに来てくれないの?」
「お父様はお仕事で忙しいし、お母様は私みたいに転移魔法が使えないからよ!」
「なんで姉様は使えるの?」
「姉様は天才だからよ!それに、使えないと大好きな弟に会えないじゃない!」
「流石は姉様だね!」
「当たり前でしょ!大好きな可愛い弟の為なら、何でもできるわよ!」
「僕も姉様大好き!」
姉弟は抱き合いながら笑っていたが、ふと、弟が寂しい顔をした
「ねえ、姉様……」
「な〜に?」
「なんで僕には名前が無いの?姉様にはオリヴィアって、素敵な名前があるのに……」
「名前が欲しいのね!なら、今日からあなたはアーロン!アーロンクロイツ・カールトンよ!」
―――――――――――――――――――――
「姉様……、やっと会えたね……」
ラウル国王第三王子クリスティンの姿のアーロンクロイツはロイドとの戦いで敗れたボロボロの姿のまま、小さなベッドの上で涙を流しながら横たわっていた。
「姉様……、オリヴィア……、今でも、大好きな可愛い弟って、言ってくれるかな?」
また、幸せだった幼い頃の夢を見れるようにと、願いながら眠りについた。
―――――――――――――――――――――
アンナは何故、複数の男性と体の関係を持ち、各国の王侯貴族がいるパーティーで無実のマリアンヌを断罪し(オリヴィアも悪役にされたが)、ラファエルを魅了しようとした。
何故そんな事をしたのか、動機が分かれば全ての謎が解けるはずだと考えたオリヴィアは、魔法塔の地下牢に投獄されているアンナの元に来ていた。
「アンナ嬢、ラウル国王の王子の紹介で、皇城で下女として働き始めたのかい?」
「紹介?何言ってるの?クリスは愛しい私と一緒にいたくて、お城に連れて来てくれたの!それより、ロイド様を解放してあげてよ!ロイド様はアンタみたいな、悪役令嬢と結婚したくないんだから!」
「ロイドを、解放??てか、悪役令嬢ってなんだ?」
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