第16話 魔力痕跡
断罪劇とアーロンクロイツの黒い煙の騒動でパーティーは直ぐに終了となった。
主役のミハイルが連れ出されたのだから当然だ。
オリヴィアは大聖女の制服をベンジャミンから渡されて着替えると、やはりドレスよりこっちが良い!と、思っていた。
ロイドと繋がっている右目を通してロイドの状況を確認すると、久々に本気で暴れて楽しそうにしているのが伝わってきたので任せる事にした。オリヴィアにもやる事があったからだ。
城に泊まる他国からの要人以外は、宿泊先のホテルや邸宅へと帰って行き、オリヴィア、ベンジャミン、シルフィはホールに残っていた。
オリヴィアが魔力痕跡を調べる為だ。あの魅力の魔法がアーロンクロイツが使ったのか、それともアンナが使ったのか、もしくは、第三者の別人が使ったのか、術者を特定しなければならないからだ。
しかし、ラファエルがアンナから魅了をかけられそうになった場所からは、アーロンクロイツの魔力痕跡は感じてもアンナの魔力痕跡は微量過ぎて、魔力量の多い皇族を一瞬で魅力出来る筈がないのだ。
「う〜ん、やっぱりおかしい」
「何がおかしいのですか?師匠」
「あの女の魔力痕跡が微量すぎる。こんなんで魅了されるなんて
「ほう、では、息子に魅了魔法をかけたのはアンナ嬢ではないと?」
「いや、あの女だ。しかし、魔力はアーロンクロイツの物だ」
「では、アーロンクロイツとアンナ嬢が共犯という事か?」
「いや、それはない。あの女は魅了魔法ではなく、自分の魅力だと勘違いしている」
「そうですわね、魅了魔法を使う魔女があんな下品なドレスを着る筈がありませんわ」
オリヴィアは座り込んで床を撫でながら考えた。
何故、アーロンクロイツはこんな事をしたのか。
何故、アンナにハーレムを作らせたのか。
何故、アンナの魔力が微量しか感じないのか。
何故、今日だったのか。
考えても分からないので、どうやってアーロンクロイツは自分の魔力をアンナの身体に込めたのかを考えてたが、それは、婚約者としてあり得ないと思ったが、もしやと思いベンジャミンに聞いた。
「チビレイ、あの女は誰か連れて来たんだ?」
「アンナ嬢はラウルの王子が城へ連れて来たぞ?」
「……、お前からみて、全員と体の関係はあったと思うか?」
その答えはベンジャミンじゃなく、シルフィが怒りに満ちた顔で答えた。
「あの女は彼らだけじゃなく、護衛騎士や貴族の子息ともですわ!何人の令嬢が婚約者を取られて泣いた事か!気に入れば股を開く娼婦ですわ!」
「そうか……、胸糞悪い事をしやがる」
「城でも問題になったが、愚息とラウルの王子がな…」
「ベンジャミン、あの女に会う必要がある」
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