第9話アイツは!
ああ、怒っているオリヴィアも綺麗だね!
昔の姿とは違うのに、魔力で僕の潜在に気が付いてくれて嬉しいよ。
また、あの頃の様にオリヴィアと楽しみたいよ。
命をかけた殺し合いを……。
――――――――――――――――――――――――
「ロイド、 アーロンクロイツだ」
「そんな、奴は死んだはすだ!」
二人は後ろを振り返るとラファエルが膝を床に着けて両手で頭を抱えて「うぅ、」と、苦しそうに真っ白な顔で唸っている。マリアンヌは心配になり床に座り込んでラファエルの背中をさすっている。
「殿下…、ご無事でしょうか?」
「……ああ、大丈夫だ、いったい……、何が?」
「殿下は魅了の魔法をかけられるところだったのですよ!私が途中で止めましたが、禍々しい魔力が殿下の身体を纏わりついているので、浄化します!」
オリヴィアは手を翳して「ピュリフィケーション」と、詠唱するとラファエルの身体が白く輝き纏わりついている魔力が消えていく。
魔力が消え去ると、ぐるぐると頭の中をかき混ぜられている様な不快感が消えて、込み上げていた吐き気も治った。
オリヴィアの結界に弾き飛ばされた女は、横抱きで抱き上げているミハイルの首に両腕を回し、肩に顔を埋めて「痛いよ」「酷いよ」と、泣き叫んでいる。
浄化と共に回復魔法もかけたので、顔色も良くなったラファエルをマリアンヌに任せると、ロイドの隣に立ち小さな声で話した。
「ロイド、皇太子の後ろにいる、銀髪赤眼は誰だ…」
「ああ、彼はラウル王国第三王子クリスティン・ラウル殿下だ。魔法学院に留学で来ている」
「ラウル王国の第三王子だと……」
オリヴィアは眉毛を吊り上げて眉間に深い皺がより、アクアマリンの瞳は怒りに満ちていて、憎しみに顔を歪めた。
ロイドの手を握り「よく見てみろ!」と、一喝した。
オリヴィアの唯ならぬ雰囲気を感じ、強く手を握りしめてもう一度第三王子を見ると、ロイドは驚き目を見開いた。
「アーロンクロイツ!」
先程までの少し癖のある銀髪とルビーみたいに真っ赤だった瞳が、闇を吸い込んだ暗闇の様な真っ黒に変わっていたのだった。
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