第4話 噂の出どころ
ロイドに捕まり自宅には連れて行かれてから一週間、オリヴィアは贅沢三昧をしていた。
ロイドと朝食を共にして、仕事に行くのを見送る。昼食まで寝て過ごし、スパークリングワインを飲みながら昼食を食べる。
メイド達にお風呂で身体をピカピカに磨き上げられ、髪の毛もヘッドスパとトリートメントで念入りに手入れをされた後には、全身オイルマッサージで癒される。
夜には大好きな肉料理に舌鼓を打ちながらエールやワインを飲みながら、帰りの遅いロイドを待っている。
ー私はロイドの家で何をしているのだろう…。貧乏引きこもりから贅沢な引きこもりになっただけじゃないかな?
ロイドの性格からしてこのままって訳はない…。なにか恐ろしい事を考えているのでは…。ー
嫌な予感がしながら、部屋でほろ酔いにながら鴨ロースを食べながらエールを飲んでいると、帰宅したロイドが部屋に入って来てオリヴィアの隣に座ってきた。
「ヴィアが山奥に棲む悪き魔女としておとぎ話になっているのを」
「酒場で聞いたよ、魂を奪う恐ろしい悪き魔女だっけか?」
「そうだよ、こんなに美しく優しい大聖女を魔女だなんて……」
「美しもないし、優しくもないよ!それに、その話は私が流したんだからな!」
「全く、なんでそんな話を流したんだ」
「いや、小屋に引っ越しして直ぐに、女が一人で住んでると夜中に男が忍びこんできてね蹴散らすのも面倒になったから、恐ろしい悪き魔女に魂を奪われてしまうのだと、噂をひろめたんだ」
「…まったく、君って人は…」
「ハッピーヒキニート生活を邪魔されたくはないからね!」
「まあいい、では、仕事をしてもらうぞ、ヴィア」
「はあ、とうとう仕事か。私は何をすればいいの?」
「とても大事な任務でオリヴィアにしか出来ない仕事だ」
「え〜!いきなりハードワークはやだよ!」
「大丈夫だよ、俺の隣で笑ってればいいだけだから」
「はあ?笑ってるだけ?」
「そうだよ、ロイド・シルベスタ魔法部隊総長の婚約者、大聖女オリヴィア・カールトンとして、皇太子殿下の誕生パーティーに出席するんだ」
「ちょっ!!ちょっと!!婚約者って!!」
「俺達はまだ婚約したままだよ」
「はあ?100年前に婚約解消したじゃない!」
「俺は、承諾しなかっただろ。それに、明日は婚約者として出席しなければならないんだ」
「だからなんで!」
「アーリン村の病は呪詛が原因なのは知ってるね?」
「ええ、村全体を禍々しい呪詛が渦巻いてた…」
「あれは、人為的なものだったんだ」
「なんですって…」
「その容疑者が明日のパーティーに出席するから、オリヴィアに呪詛の残滓を確認して欲しい」
「分かったわ!だけど、なんで婚約者じゃなきゃいけないの?」
「陛下と殿下に婚約者と出席すると伝えたからだ」
「あんた、馬鹿じゃないの!?」
――――――――――――――――――――――――
ああ、やっぱり君は美しい……。
美しい君には美しい僕が相応しいんだ……。
だから、君の為に目覚めたんだよ……。
迎えに行くから待っててね……。
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