第2話エールが飲みたい!

「もう飲めないよ!」


と、叫びながらオリヴィアは叫び身体を起こした。短く切られた手入れなどさあれていない真っ白な髪は爆発したようにボサボサだ。しかも、アクアマリンの様に輝く綺麗な瞳なのに目元にはごってりとメヤニが付いていて、着ている白いシャツも首周りがヨレヨレで黒や茶色いシミだらけで不潔さが漂っていた。


「な〜んだ、夢かぁ〜」


ー久々に浴びるほどエールが飲みたいなって思いながら寝たら、エールの滝で浴びながらエールを飲む夢をみるなんてな!ー


オリヴィアはベッドと二人掛けの小さなテーブルにキッチンだけの小さな小屋に住んでいた。

ベッドから出てシャツを脱ぎ肌からになるとタオルを持って家から出て行くと、庭にある黒い大釜に魔法でお湯を満たし『ザブン!』と、勢い入って。


「ぷは〜!10日振りのお風呂は気持ちいいね〜!」


大釜から仰向けで頭を垂らし魔法を使ってたっぷりの泡で髪を洗い、特製のハーブのトリートメントをたっぷりと髪に塗り込み久々に髪の手入れをした。


「せっかくお風呂に入ったし、一年振りに村にエールでも飲みに行くかな!」


風呂から上がり指をパチンと鳴らすと、ビショビショの裸姿だったのが、一瞬で長袖のグレーのワイシャツに茶色いズボン姿で、足元は履き潰された黒い革靴を履いていた。

せっかくトリートメントした白い髪は真っ黒になり軽く後ろに流し、アクアマリンの瞳は茶色い印象のない瞳に変わっていたが、それでも美青年に見えるオリヴィアは元々美しい女性だからだろう。


オリヴィアは手首を捻り先端に拳程のアクアマリンの球体が付いた長く白い杖を出して横向きに座ると、認識阻害のスキルを発動させて飛行魔法で樹々をぬけながら山を出て村へと向かった。


村のに近付くと違和感を感じたので、村の中心部まで行くと上空から村を見て唖然とした。


ー村全体に結界が張られているな。それに、禍々しい呪詛が渦巻いてるな…。村に何があったんだろうか?ー


「早くエール飲みたいし、とりあえず浄化しとくか」


オリヴィアは結界の外側に結界を張ってから結界を破ると、杖から降りて急降下しながら、先端のアクアマリンから聖力を村全体に放ち白い光で浄化していった。


村の中心部に降り立ち杖を地面に突きさすと、カーンと音が村に響かせて「ヒーリング」と唱えた。


村がキラキラと光の粒が降り注ぐと、オリヴィアは手首を捻り杖をけし、村に来ると必ず寄る酒屋に行き扉を開けると、村人達が涙を流しながら抱き合っていた。


酒屋の亭主を見つけると、何があったのか聞こうと駆け寄った。


「マスター!いったい村に何があったんだ?」


「オリバーじゃないか!?なんで村に来たんだ!?」


オリヴィアは村では流しの薬売りのオリバーと名乗っていて、薬やポーションを売って酒を飲んでいた。


「ここのエールが飲みたくて村に来たんだが、村に何が起きたんだ?」


「村に謎の病気が蔓延して立ち入り禁止になったの知らないのか?ここにいるのは石化が進んだ奴らで、俺も胸まで石化しちまったんだ」


「なんだそれは?なんでそん事に…」


「分からねえ、だけど…、足、が、治って…うぅ…」


「治って良かったなマスター!」


「おう!うぅ、もう二度、店には立てないと思った…」


「治ったからまた立てるじゃないか!」


「そうだな!よし!みんな!今から病気が治った祝い酒だ!」


「「「おー!」」」


オリヴィアは久し振りのエールを堪能しながら、村人達と肩を組んで歌ったたり踊りながら、皆んなが元気になって良かったと嬉しく思っていた。

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