大聖女はヒキニートになりたい!

いちとご

第1話プロローグ

とある山奥に一軒の小屋がありました。

そこには、どんな怪我や病気でも治してしまう魔女が住んでいました。

しかし、その小屋には誰も辿り着く事は出来ないのです。

もし、辿り着けたとしても、恐ろしい悪き魔女に魂を奪われてしまうのだ……。


という都市伝説が、いつからか世界中に語り継がれ今では絵本の中のおとぎ話になっていた。


だが、それはおとぎ話でも都市伝説でもなかったのだった。


ーーーーーーーー


「謎の病で壊滅状態の北部の村ですが、派遣された魔法師や医者にも病が移り、原因究明も出来ないまま壊滅状態にあります。結界魔法で隔離しておりますが、もはや、村を焼き払い浄化するしかないかと」


「しかし、死亡者が出ていないのに焼き払ってしまうのは、些か乱暴ではあるまいか?」


「宰相殿、隣接する村の民からも不安の声が出ていて、物資の搬送も出来なくなっております」


「陛下!ご決断を!」


ルミタス帝国の属国であるラウル国の北部のアーリン村では、一カ月前から高熱と湿疹が発症したのち、足の指から石化していく原因不明の病に冒されていた。


皇城の一室では村の領主、属国の国王、帝国の三大公、皇太子、皇帝が集まり対策会議をしていた。


皇帝が決断を迫られた時に扉が勢いよく聞くと、魔法師が大声で叫びながら入って来て、皇帝の前に一枚の紙を広げた。


「皇帝陛下!病が!病が完治しました!村民も派遣された医者や魔法師達も完治したと報告が来ました!」


「なんだと!?」


皇帝は紙を見ながら「奇跡だ」と、呟いた。その紙にはこう書かれていた。


『村が白い光に包まれると、光の雨が降り注ぎ一瞬にして病が完治した』

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