第22話


2階層に上がると先ずルーシーが口を開いた。


「一旦ここで終わりだ。適当に睡眠を取り8時間後もう一度再開する。夜営の仕方は知っているな?」


そうして夜営が始まった。



翌日。

タカシが何かしてくるかな?とか思ったけど特に何も起きずにルーシーが俺達を起こす。


「再開だ。ここの階層はタカシに任せる」


そう言って任されるタカシ。


「おっしゃ見とれよボケ共元高ランクの攻略法見せたるさかい」


そう言ってタカシはズンズン進んでいく。

2時間後。


階段が見えた。


「見たかよ。この俺の実力」


そう言って派手に笑うタカシ。

偉そうな態度なだけあってやはり攻略はそこそこ出来るらしい。


ここまでに何回かあった雑魚戦だってそうだ。


こいつは1人で参加しているのにミーナ達のパーティと遜色ない動きをしていた。


ヨシテルパーティは完全に置いていかれてる状態だった。

そうして辿り着く3階層。


「じゃあ、次はミズキにやってもらおうか」


そう言ってルーシーは俺に戦闘を任せる。

階段を上がって5分歩くと拓けた場所に出た。


周りを確認して見ると少し離れたところの崖上に階段があるのが見える。


「階段はあれか」


呟くとタカシが突っかかってくる。


「あんなもんな。今までも見えるだけは見えてたやろ。あそこまでどうやって最短で行くか、冒険者ってのはそれが問われるんだよ。早ければ早いほど冒険者として優秀ってわけや」


ルート選びの大事さをこれでもかと1人で説明するタカシ。


「まぁ俺の見立てによるとあそこまでお前だと4時間くら……」


タカシの言葉を最後まで聞かずに


氷魔法を使う。


ピキーン。と氷の通路ができた。

氷魔法で崖上までの直通の階段を作る。


それを見たミーナやヨシテルが


「す、すごい!氷の道が出来ました!」

「そ、そんな……魔法で道を作っちゃうなんて」


そう驚いているようだった。

俺はタカシを横目で見る。


「回り道なんてしないよ。ルート選び?ルートは選ぶもんじゃなくて作るものだよ」


ワナワナと震えているタカシを見てから

ふっと笑いながら俺は階段を登っていく。


俺の後に続くタカシ。


その後にはルーシーが続いた。

俺とルーシーでタカシが暴れないかを見張る形になる。


「すごいですーーーー!!!ここまでで1番早い10分で階段到着ですねーーー!!!!!」


サーシャが飛びついてくる。

その後もメイルやシズルが俺の周りではしゃぐ。

それを見たタカシの顔が歪んだ。


「たまたまやろたまたま。お前の得意魔法と噛み合っただけやろ。俺は戦闘向きのスキルとか魔法しか使えんからな。しゃあないわ」


そう言って言い訳するタカシ。

その後階段を登りルーシーは俺をまた案内役に指名した。


「よろしく頼むよミズキ」


そう言われ歩くこと数分。直ぐに階段が見えてきた。


「おっしゃ!次がボス部屋やな!俺が倒したるわ!」


そう言って我先に向かっていくタカシだったが。その時


ガラガラガラガラ!!!!!


上から落石が落ちてきて階段への通路を塞いでしまった。

もう少しでタカシは落石の下敷きだったのを見て


「惜しいな」

「何が惜しいやねん!だぼ!大概にせぇよお前!」


タカシが怒鳴ってきた。

そんなタカシを無視しているとルーシーが話しかけてくる。


「さて、流石に回り道するしかなさそうだが」

「そうですよね。私は通路の奥に道がまだ続いてるのが見えました!きっと他の道からでも回ってこれますよ!」


と、ミーナが口を開いた。


「そうだね。今回はもう天井まで落石があるし、氷の階段でズルも出来ないだろうし」


ヨシテルも回り道しかないよと言ってくるが俺は落石を見てから離れる。


「どうら!流石に無理やろ!回り込むしかないわ!こんなもんな!4時間かけてまた新しい道探せやお前!さっきの階層10分だったから別に我慢したるわ!」


タカシが水を得た魚のように口を開く。

それにしても四時間くらいは我慢してくれるのか。ツンデレか?


そんな事を考えながら俺はまた魔法を使う。


「ウォーター」


天井付近から落石に水を大量に流す。

それに


「サンダー」


たっぷりの水に電気を流していく。

最後に


「ファイアボール」


俺はファイアボールを投げた。


「おいおい、何してんねんお前そんなんで……」


タカシが文句をつけてくるが

バコーーーーーーーーン!!!!!!!


道を塞いでいた落石が爆発して粉々に砕け散る。


「な、何でやねん……どういうこっちゃねん」


訳の分からないという顔をしているタカシに答える。


「あんた転移者だろ?学校で習わなかったか?水に電気を流せば水素と酸素に分離する。その酸素だらけの中に火を近付ければ?」

「爆発する言うんか?」


俺は頷く。

実際に爆発してるし。


「お、おいおい、そんなもん考えたこともなかったわ……」


そう言いながら立ち上がるタカシ。


「とにかく道はできた。進もうか」


俺はポカーンと口を開けている皆にそう言って1人階段に進んでいくが。


「な、何で爆発したの?今の」


メイルが聞いてくる。


「い、意味分かんないんだけど」


俺が今の流れを説明しようとしたらシズルが代わりに説明してくれた。


「水素?酸素?」


首を傾げるメイル。

ルーシーも


「????よく分からないな」


首を傾げるだけだった。


この世界じゃそういう教育はされていないのかもしれないな。

そしてサーシャは


「頭いいですね!!!!ミズキ様は!!!!流石ミズキ様です!!!!」


そう言っていつものように飛び付いてくる。


さ、次のボス戦に向けて気持ちを切り替えよう。

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