第17話 剣聖のスキル
俺はエルザのレベルを確認した。
レベル:109
レベルだけなら俺が圧勝してるし全然勝てるんだが。
「手合わせ願いたいんだがどうだ?」
エルザの質問に答えるのは俺ではなくメイルだった。
「や、やめてよ!エルザ!私の結婚相手なんだから好きに選んでもいいでしょ?!それに剣聖のエルザにミズキが勝てるわけないじゃない!」
俺が負けると思って止めに入ってきてくれたらしいメイル。
「同じ仲間だった。そんなメイルを預けるに値するのかどうか自分の中で確認してみたいだけだ」
そう言って剣を向けてくるエルザ。
「退いてなメイル」
俺はメイルを退けてから答える。
「いいよ。場所、時間は?」
「今、ここで」
彼女がそう言うのと俺が動くのは同じだった。
「
「フォースシールド」
キーーーーーン!!!!
エルザの光り輝く剣と俺のフォースシールドがぶつかり合う。
【ジャッジソードを技リストに登録しました。ジャッジソードが使用可能になりました】
「な、なんて硬さだ!このシールド!ぜ、全然砕けない!」
叫んでいるエルザに向けて俺は右手の剣を
「ジャッジソード」
スキルを発動させて突き出して胸元の装備を少し抉ったところで止める。
光り輝く俺の剣。
「反応、判断力、技術力全て私の負けだ」
「しかし何故私のジャッジソードを?」そう呟いて剣を収めるエルザ。
俺にものまねされたことを不思議に思っているらしい。
その質問には答えずにいるとエルザが口を開いた。
「しかし、フォースシールドとは何だ?聞いたことがないのだが」
「僕もないなフォースシールドなんてスキル」
エルザの後に口を開くアシュレイ。
そのアシュレイがメイルに目をやった。
「何か知らないかい?メイル。魔法に詳しかったよね」
「知らないよ。そんな魔法。でも、防御無視のジャッジソードを耐えられるから普通の魔法じゃないよね」
そう言って俺を見てくるメイル。
彼女は俺がハーデス達に仕込まれた事までは知らないから仕方ないか。
「ふふふ、本当に面白いなミズキは」
そう言って笑うアシュレイ。
「いいよ。君にならメイルを任せられる。聖女の枠はまた募集をかけることにしよう」
そう言って素直にメイルを手放すアシュレイ。
意外だな。
メイルの話じゃもっと引き止めそうなもんだけど。
「さよならー愛しのメイルー」
嘘泣きを始めるアシュレイ。
「では、我々は訓練に戻るとしよう」
エルザ達は訓練へと戻って行った。
既に夕暮れ時だがまだ練習するらしい。大変だな。
「ここから帰るのは大変だろう?王様にかけ合ってあるよ。今日は王城に泊まっていくといい」
◇
部屋は好きに選んでと言われたので大きめの部屋を選んだ。
サーシャ達が大きなベッドにはしゃぎ回る中メイルが話しかけてきた。
「念の為警戒しておいて。何か仕掛けてくるかもしれないし」
「それもそうだな」
一応不審物がないか俺も部屋を探し回るが、
「特に部屋には問題なさそうだな」
それもそうか。向こうが用意した部屋ではなく俺たちが選んだ部屋だ。
何か仕掛ける余裕もなければ全部屋に仕掛けるなんて事もないだろう。
「でも結構良い奴そうだけどな」
アシュレイについて思った感想を口にしてみるが
「信用しないで」
そう口にするメイル。
「まぁ今日は起きておくよ。それと早めにシャワーは浴びておくといい。何が起きても出れるようにね」
そう言うとメイルはサーシャ達にさっさとシャワーを浴びるように促してくれる。
そうしてメイル、俺まで無事にシャワーに入り終わってサーシャ達が寝始める。
初めは全員に個室を提案されたけど無理を言って4人部屋を借りたのだが
「何で私とミズキなのよ」
顔を赤くしながら俺の顔を見て言ってくるメイル。
「あの
サーシャが私ばっかりずるいですよねと言ってこうなった。
「まぁ俺たちは起きてる予定だしいいだろ?」
「ま、まぁね」
そう答えるメイル。
「何も起きないといいけどな」
そんなことを呟いて何時間か経過した。
夜中。草木も眠るだろう時間になっても何も起きなかったけどそれは部屋の外から突然聞こえ出す。
アシュレイとエルザの声だった。
廊下を歩いているのだろう。
「そういえば、本当に良かったのか?メイルの件。頻繁に求婚していたじゃないか」
「いいよいいよ。あんなのただのスキンシップさ。彼女も別に本気にしてないだろ」
そう言われているメイルだがなんの反応も無いので見てみたら
「zzz」
こいつ寝てやがる。
座ったまま寝てやがる。
声がどんどん近くなってくる。
「ミズキか。彼とは1度パーティを組んでみたいものだ」
そう呟くアシュレイ。
それから
「そうそう【コンビニ】に行ったんだけど」
あいつはコンビニと確かに言った。
「コンビニ?」
聞き慣れない言葉に聞き返すエルザ。
「ごめん噛んだよ。コンビネーションの本を買ったから今度一緒に読まないかな?って思ってさ」
「コンビネーション?もういいだろう。十分完成しているはずだ」
「残念」
そんな会話が聞こえた。
そのまま何事もなく時間は過ぎたが。
この世界にコンビニは無い。
でも、あいつは流れるようにコンビニと口にした。
「転生者なのは間違いないか」
現状分かることはそれくらいだけどまぁ良しとしよう。
何よりあいつがあのクソ野郎の転生だと確信があるわけじゃないし。
急いでも仕方がない。
それよりもこの冒険者生活を楽しもう。
と思ってもあの男が引っかかるのもまた事実だった。
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