第15話 不正がありました。
制限時間の1時間が終わった。
「そこまでだ!受験者達は帰ってこい!」
ルーシーがテレパシーでクエスト終了を告げた。
「手が痛いですぅ、でも、これ絶対勝ちましたよね♪」
俺の手を握って飛び跳ねるサーシャ。
「やっぱりこんな抜け道を考えてしまうなんて天才ですよーミズキ様は。誰も思いつきませんよこんなの!」
飛び跳ねてるサーシャに続いてシズルもお礼を言ってくる。
「ありがとうミズキ。ミズキのお陰で私も合格だよこれで」
「本当にですわ、こんな私のために、こんなにも素晴らしい秘策を教えて頂いてありがとうございますミズキ様」
シズルに続いて頭を下げるスミレ。
現在の順位はこうなっていた
1位 ミズキ 125,000ポイント
2位 サーシャ 78,000ポイント
3位 シズル 60,000ポイント
4位 スミレ 58,000ポイント
5位 剣崎 840ポイント
俺たちの勝利を確信してから俺はサーシャ達を連れて開始地点に戻ることにした。
まず目に入ったのは渋い顔をしているルーシーの顔。
「な、何だこの数字……は。見たことがないが。どうやったんだ?これ、信じられないが……数字に出ているな」
戸惑いながらもルーシーから上記の表の発表が行われた後、剣崎が叫んだ。
「ふ、不正だろうがこれ!!!!桁が1つどころか2つも3つも4つも違うじゃねぇかよ!!!!どうなってんだよ!チートだろうが!!!!普通にやって出せる数字じゃねぇだろうがこれ!!!!!」
そう言われてルーシーは首を捻る。
「確かに上位陣は明らかに我々の想定していた流れを無視していると思われるな」
「そ、それならばやり直しだろうが?!有り得ねぇよ!こんな数字!!!」
剣崎が叫ぶと他の受験者達も騒ぎ始めた。
「そうだ!ありえねぇよ!この数字!どうなってんだよ!」
「おい、ギルマスあんた!数字触らせただろこれ!有り得ねぇんだよ!どうやるんだよ!こんな数字!」
俺を一瞬だけ見たルーシー。その後に口を開いた。
「やり直したい者はどれだけいる?」
はい!はい!はい!はい!はい!と俺達以外全員が手を挙げた事になる。
「確かに見ている限り今回不正が行われていたのは確かだった」
「だろ?!だったら!やり直してくれ!」
そう言われて口を開くルーシー。
「不正をしたのは自分だ、と名乗り出てくれ。1人でも名乗り出たのなら1部の人間を除いてやり直す。10秒待つ。名乗り出ない場合不正者を名指しして冒険者資格を剥奪する」
ルーシーがそう言うと剣崎が口を開いた。
「お前らだってみんな分かってんだよカス共!」
剣崎がそう言うと立野も続く。
「早く名乗り出ろよ!俺らみんな必死に頑張って普通にやったんだよ!お前らしかいねぇんだよ!こんな不正やったの!」
「だ、ダメだったんですかァァァァ?!!!あれぇぇ!!!!」
サーシャがどうしましょどうしましょと頭を抱えて左右に走り回る中シズルは俺を信じていた。
スミレもそんなシズルを信じるようだし。
ルーシーがカウントダウンする。
「3,2,1,0」
誰も名乗り出なかった。
「てめぇらのせいだからな!!!!おい!」
剣崎が叫ぶ
「おい!お前ら!人様に迷惑かけといて何黙ってんだよ!カケハシ!ブス!てめぇら!覚えてろよ?!」
それに続いて立野も暴言を吐いてくるが、遮るルーシー。
彼女が口を開いた。
「ポイント順位5位の剣崎以下26名を不正行為により不合格とし冒険者資格を剥奪する」
そう冷たく言い放つルーシー。それから俺たちを見た。
「どうやってあんな数字を出したのか分からないが、ミズキ、サーシャ、シズル、スミレの4人は通常通り合格だ。おめでとう」
そう言ってくる。
「え?不正じゃないんですか?」
質問するサーシャに頷くルーシー。
それから今回の不正の事について話し始めた。
「他の奴らは各自事前に武器を森に隠しており、その武器を使ったとの報告が入ったが君たちの不正行為は報告されていない」
ルーシーの言葉を聞いて他の受験者達が暴れ出す。
「おい!剣崎!てめぇが!武器持ち込んでいいって言ったんだよな?!検査なんてザルって言ってさ!!!」
「お前のせいだぞクソ剣崎!絶対合格できる!って聞いたから持ち込んだんだぞ?!」
そんなヤツらを馬鹿だと笑うルーシー。
しかし誰もそんなこと聞いていない。
「ま、待て待て待て待て!待ってくれ話し合おう!」
剣崎と立野を囲み始めた冒険者達。
ドカ!バキッ!と殴ったり蹴られたりし始めていた。
「てめぇらのせいで!今までの努力が水の泡じゃ!死んで詫びろや!」
2人の絶叫が聞こえる。
そんな冒険者達を焚きつけるように悪魔のような言葉を口にするルーシー。
「あー言い忘れていたが死亡者が出た場合そいつらが自動的に最下位になる。その分合格枠も広がるよ」
「てめぇを殺して俺が合格する!」
「いや、俺だ!死ねや剣崎!立野!!!!」
2人をより痛めつけていく冒険者達。
「既に冒険者資格は剥奪されているから無駄だと言うのにな」
フっと呟いて俺達の近くに寄ってくるルーシー。
「君たちは戻りなよ。アルマがギルドカードを用意してくれるだろうさ。我々はこの後あの不正者たちの対応をせねばならん」
その言葉に頷いて俺は街の方に戻ることにした。
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