第14話 Cランク昇格クエスト攻略法

前回の緊急クエストで必要な冒険者ランクを溜め終えた俺達は昇格クエストを受けられるようになっていた。


アルマに話を通しクエストを受注した俺だったが、今回の昇格クエストは挑戦者全員で攻略して行くことになるらしい。


その中には剣崎達もいた。

その剣崎が近付いてくる。


「お互い、頑張りましょうね?」


そう言ってくる剣崎。


「まともに話して貰えると思ってるのか?」

「まさか。まぁ、でも?そこのブスにはこき使われたしね?挨拶ですよ挨拶」


そう言って剣崎はスミレに中指を立てた。


「死ねよ。嫌われ者のブス。お前はクラスメイトにも嫌われて居場所なんて何処にもないからな。せいぜい嫌われないようにしとけよー」


そう言いながら立野のところに戻る剣崎。

その前に返すものがあるわと言って剣崎はスミレに何かを投げつけた。

ベチャリ。

スミレの顔にあたって割れるそれは卵だった。


「きったねー。あははは。お前がカケハシにやってきた事だぜ?これ。自分がやられる側に回るとどうよ?」


聞いてくる剣崎に答えるスミレ。


「どうでもいいですわこんなもの」

「ならもっと喰らえよ!」


また投げてくる剣崎。

その卵がスミレの顔に当たる前に俺は掴んだ。割れて飛び散る前に焼き尽くす。


「み、ミズキ様?」


不思議そうな顔で見てくるスミレ。

俺は剣崎に口を開いた。


「ご苦労さま。わざわざこうするために卵を割らずに持ってきたその苦労、労ってやるよ。さぞ神経を使っただろう?」


皮肉だ。

明らかに馬鹿にされたと気付いた剣崎が声を荒らげる


「貴様ぁ!」


それを止めに来る立野。

落ち着いた剣崎が口を開いた。


「はっ。そんな皮肉言ってられるのも今のうちだぞ?ミズキ。今回の昇格クエストでお前だけ落としてやるよ」


そう言って歩いていく剣崎。




俺もサーシャ達に目をやり今回の昇格クエストの行われる場所まで移動する。


今回は森の中だ。


移動したらギルマスが隣にある武器ボックスを指さして口を開く。


「今回はこちら指定の装備でクエストを行う。まず、ここから好きな武器を持っていけ。その際我々に装備している武具を預けること」


受験者達が好きな武器を持っていく。

全員が取ったのを確認してからギルマスのルーシーが説明を始める。


「知っての通り。共同で進めていくクエストだが、順位がある」


ルーシーが説明していく。


モンスターを倒せば1点と言ったようなポイントがあり獲得した点数が多いもの程順位が高くなるシステムらしい。


そしてポイント上位者程Cランクになった時のランクポイントが高くなり次のBに上がるまでも早くなるという事らしく。


ちなみに今回の評価項目は雑魚戦をどれだけ早く突破できるかを見ているらしく大量の雑魚が湧くがボスはいないとのこと。


「ただし順位が下の者は昇格させないこともありえる。気をつけろ」


説明を終えたルーシー。

その後クエストがスタートした。


「は、早く行きましょう!ミズキ様!早い者勝ちらしいですよ!」

「少し待ってくれ」


他の冒険者が我先にと走り出す中俺はルーシーに近付いて質問をした。

念のため確認しておこう。


「挑戦者が途中で死亡した場合はどうなる?」

「その場合は死亡した奴らが最下位になる。この程度のクエストで死亡する者などいないと思うが」


その言葉を聞いた俺はサーシャ立ちに声をかけてスタートすることにする。

俺のポイント稼ぎとやらはどうとでもなってもサーシャ達はちょっと厳しいかもしれない。


そうして雑魚の湧くポイントまで移動してきた俺たちは


「サーシャ達はとりあえずここの雑魚で稼いでおいて」


そう説明して俺はクエストの詳細に目を通す。


ポイントの配分などは毎回違っており一点特化の対策が出来ないそうだ。


だから各々の対応能力も計られる、そうだが。


今回のポイント配分は

モンスター討伐 5ポイント

ヒール 2ポイント

弱点ヒット 2ポイント

攻撃コンボ 1ポイント


比較的条件が簡単で、稼ぎやすそうなめぼしい所だとこんなものだが。


「えいっ!」


ポコポコ叩いているサーシャ達を見守る。


モンスター1匹倒すのにかかる時間は30秒といったところか。

モンスターの再出現時間は平均20-30秒。


1分に1回でやっと7ポイントとかっていうことになる。

毎回弱点を叩けるわけじゃないからもっと少なくなる場合もあるし。


モンスターの再出現時間もかかるし。



前世の知識を使うならこういうのって大体稼ぐテクニックがあると思うんだよな。

例えば無限湧きを使う、とか。でも今回に関しては無限湧きは効率悪いかな?




クエストの詳細を確認した。


現在の順位が見れるという話を聞いたのを思い出した。


1位 剣崎14ポイント

2位 立野14ポイント

3位以降も同じ感じか。


ちょっと出遅れたとはいえ向こうはサーシャ達の倍を既に稼いでいるのか。



俺は自分に向かってきたウルフの首を左手で掴んで、それを横向きで地面に叩きつける。


右手に持ったナイフの底でウルフの弱点である頭を叩く。


かなり緩めに叩いてある。

本当に気持ちで言うなら軽く当てる程度だ。


「くぅん!」


クエストの詳細を確認する。

ここでどの行動でポイントを稼げたかとかも分かる。


【弱点ヒット +2ポイント】


それからウルフの体力を確認した。

ポイント獲得条件にはヒール、とだけあった。


味方のみとは書いてないからそのまま読むなら敵でもいいはずだ。


体力:30/32


「ヒール」


ウルフをヒールする。

するとウルフの体力は


体力:32/32


それを確認しながらクエスト詳細に目をやると


【ヒール +2ポイント】


ここまで2秒もかかっていない。

つまり1秒で2ポイント稼げるということになる。


この昇格クエストの稼ぎ方が見えた。

でも念の為いけるかどうか再度確認したら、皆にも教えよう。


そして2分後の順位


1位 ミズキ 350ポイント

2位 サーシャ 140ポイント

3位 シズル 120ポイント

4位 スミレ 118ポイント

5位剣崎 28ポイント


剣崎と俺は10倍以上の差が出ていた。


分かったことがある、討伐ポイントは重要そうに見えて確実に罠。


このクエストの攻略方法は雑魚を1匹捕まえて殺さず生かして弱点ヒットとヒールで稼ぐ、だ。


ちなみにコンボボーナスというのは一定時間以内に攻撃し続けると加算されるらしい。

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