第8話 Dランク昇格クエスト
次の日。
昇格クエストを受けに来た。
アルマに受注作業をしてもらい俺はシズル達を連れて現場に来た。
クエスト詳細に先ず目を通してみる。
ダンジョン名:ブロンズ鉱山。
階層数:3
クリア条件:キングオーク1体の討伐
制限:48時間以内にクリア
現場はブロンズ鉱山という場所だ。
3階層で形成されているダンジョンらしい。
その最奥に今回の討伐対象キングオークがいるそうだが。
ダンジョンのとりあえず一階層を攻略する。
道中俺はシズルに聞いてみた。
「シズル、冒険者カード見せてくれないか?」
「いいですけど、はい」
そうして見せてもらったシズルのカード。
名前欄にはシズル・カケハシとあった。
「シズルってもしかして異世界人?」
「な、何で分かったんですか?!!!!!そうですよ。私召喚されたんですよ。学校にいるときに」
驚くシズルと首を捻るサーシャ。
サーシャは元々この世界の人間だし異世界とか言われても分からないんだらうな。
「シズルもそうだけど特にカケハシって名前この世界の名前じゃないよなって思って。後顔立ち。明らかにこの世界の人間じゃない」
「す、すごいですね。よく見てますねミズキさん」
そう言ってくるシズルも気付いたのか聞いてきた。
「ミズキさんも召喚されたんですか?で、でも顔立ちがこの世界の人ですよね」
「俺は転生者だ。名前は偶然こんな名前が付いた」
「そ、そうなんですか」
この会話で分かったことがある。
転生とか転移とかっていうのは特別な事じゃないのかもしれないな。
いやー、でもあれだなー。
サーシャに制服着せてみたいなぁ。
って、考えてることが変態みたいだな。
やめておこう。
そうして歩いていると今にも崩れそうな橋が目の前に入った。
その一方で
「ギャーギャー!ギャーギャー!」
ゴブリンが何匹か出てきた。
なるほど。あれを倒して進むか、あれから逃げるように急いで進むかを選ぶわけかな?
「だ、大丈夫でしょうか?この橋」
戦わないことを選んだのか聞いてくるシズル。
「気を付けて進めば大丈夫だろうけど。そんな事で気を使うのも面倒だろう。道を作ろう」
「???????」
相変わらず首を捻るサーシャ。
俺は横に移動して何も無いところで足をガンと地面に叩きつけて、対岸まで繋がる氷の橋を作った。
「ひえっ?!新しい橋を作ってるんですけどこの人?!」
叫ぶシズルに
「まぁ、壊れそうな橋なら渡らずに作ってしもうだなんて、本当に素敵な方ですわミズキ様!」
我先に橋に進んでいくサーシャ。
よっぽど俺の橋を信用しているらしい。
俺も氷の橋を歩いていく。
「早く来いよシズル。後で壊すからな」
「ま、待ってくださいよ〜」
俺を追いかけてくるシズル。
「ぎぃぃぃぃ!!!!」
ゴブリン達も俺たちを追ってくるが。
先に俺達は渡り終えたし、作った時と同じく足から地面に魔力を通すようなイメージで踏みつける。
パリパリパリーン!!!!!
氷の橋が粉々に割れていく。
「ぎぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」
落ちていくゴブリン達。
下には川が流れていてドボドボと落ちていく。
ちなみにオンボロ橋の方は最初にゴブリンが渡り始めた瞬間落ちていった。
見るからに地雷だったし渡らなくてよかったぁ。
「凄いですわ!ミズキ様!戦わずにゴブリンを倒してしまうなんて!ここまでお考えになられた上で橋をお作りになられたのですね!」
ニコニコ笑顔のサーシャに頷いて俺達は先に進むことにした。
そうして辿り着いた3階層。
この奥にキングオークとやらがいるらしい。
扉を押し開けると中にデカいオークがおり
「オォォォォ……」
叫んでいるところ悪いけど
「ダイヤモンドダスト」
俺は魔法を使い凍らせ、パリン。
割れるオーク。
これだけで撃破だ。
そうしてギルドまで戻ってきた。
「終わったよクエスト」
俺はクエスト完了の証拠をアルマに渡す。
でも忙しそうにアルマはずっと何か作業をしていた。
顔を上げていないが把握出来ているのだろうか?
「えーっと。ちょっとお待ちくださいねー」
そう言ってしばらく
「えーっとゴブリン三体の討伐の方でしたっけ?」
「違う」
ここでやっと顔を上げるアルマ。
「あれ?てっきりもうクエストに出発したものかも思っていました」
「行ってきたよ」
「???????」
首を傾げてから分かりましたよ、と続けるアルマ。
「何か問題があったんですね。お聞きしますよ」
「クリアしてきたんだよ」
「え?」
アルマがカウンターに置いてある依頼書を手に取る。
「ほ、ほんとですね……も、もうクリアしたんですか……?」
「さっきからそう言ってるよ」
やっぱり話を聞いていなかったらしい。
俺がそう言うと
「あ、あのー制限時間2日って書いてあるんですけど、受注してから3時間も経ってませんよ?ふ、普通18時間はかかるんですよこのクエスト」
そう言われてもクリアしてきたものはしてきたんだよね。
「途中でボロボロの橋ありましたよね?あれは必ず崩れるようになっていてそれを避けて通るためのルート探しで時間が取られるんですよ」
そう言われて俺は思い出す。
「あー、あの橋渡るの不安だったから橋作ったんだよね」
「つ、作ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!!!」
ドン!とカウンターを手で叩いて乗り出すアルマ。
「ど、どういう事ですかァァァァァァ?!!!!!作ったって!!!!」
「いや、普通に魔法で」
「そ、それぜんっっっっっっっぜん、普通じゃないですからねぇぇぇ?!!!!皆さん普通は別の道探すんですよ!!!!!」
何だそういうことだったのか。
「じゃあもしかして別の道探せなかったから不合格?」
「い、いえ!それはないですよ!討伐対象は討伐していますからね」
「何だ良かったよ」
そう言って胸を撫で下ろす。
「と、とんでもない人ですね。驚きましたよ。道を作ってしまうだなんて」
そう言いながら俺達にギルドカードを渡してくる。
「おめでとうございます。これでDランクです」
「ありがとう」
俺たちがカードを受け取った時。
カランカランと音がなり誰かがギルドに入ってきていた。
皆そいつに目をやる。
「お、おい。あれ勇者パーティの聖女メイルじゃないか?!」
「ほ、ほんとだ!あれ勇者パーティの聖女メイルだ!」
俺も目を向ける。
そこには銀髪のダルそうな顔の少女が立っていた
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