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体も頭も、とにかく軽くて心地よい。あまりの感動に、帰り道、コッコに「ととのう」感覚を力説した。
「スッキリついでにいろんなものスッキリしちゃえば?」
しばらく黙って真剣に聞いてくれていたコッコが、にやりと笑う。日に焼けた丸い頬がツヤツヤと輝いた。
「そうだねえ。なんか今なら何でもできちゃいそう」
足取りが軽すぎてどこまでも歩いていけそうだ。
でも、身軽でハッピーな私には、東京は人が多すぎる。ふと母親の顔が頭に浮かんだ。
「手始めにヤツをこれかな〜」
続いて頭に浮かんだ憎たらしい恋人の顔を断ち切らんと、私は指をチョキの形にして、切るような素振りをした。コッコは何も言わずに不敵な笑みを浮かべて頷く。
コッコとは、家の前で別れた。
「コッコ、今日はありがとね」
「いいってことよ! 真琴、グッドラック」
私は昔と変わらないコッコの小さな背中を見送った。
見た目は幼くて子どもみたいだけど、とても頼もしくて、いつも私がほしい言葉をくれる。
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