第31話 ヨウコさんの優雅な日常

side:ヨウコ



皆様、花粉が舞う季節ですが体調を崩したりせず、元気に過ごせていますでしょうか?


今日はわたくし狐の神獣ヨウコが、ユウさんに代わって色々お話させて頂く事と相成りましたので


よろしゅうお願い致します。



「ヨウコさーん、早く狐火で木を燃やして炭作ってよぉー!」


「そない大きな声を出さんでもちゃんと聞こえてます。はい、狐火っと」


『ゴォーーーーーーーー!!』



はぁ


シロさんは場の空気言うんを全然読まへんのやから困ります。



『カキィン、カキィン』


「もう炭が出来てる?!しかもこの炭、備長炭みたいです!」



ふっふっふっ


ナツミさんが出来たばかりの炭と炭を当てて音を確かめてはるけど、炭に関してはユウさんからもお墨付きを貰ったほどですから


少しだけですけど炭作りには自信があるんです♪



「ナツミさん、ちょっと」


「あっ、はい、何でしょうヨウコさん」


「今から焼き鳥を焼くんですよね?そしたらついでに油揚げも炙って欲しいんですけど」


「勿論構いませんよ」


「えっと、表面を焦がさんようにパリッと焼いて欲しいんですけど、大丈夫ですか?ナツミさんは料理スキルが無いと聞きましたけど、無理なら無理と言って下さい。」


「いえ、炙るだけなんで大丈夫ですよ。いなり寿司を作って欲しいって言われたら難しかったですけど(笑)」


「いなりずし?」


「知りませんか?ヨウコさんは狐の神獣ですし、油揚げが好きなら知ってると思ったんですけど」



『いなりずし』初めて名を聞く料理なのに、何故か身体の奥底から『いなりずし』を欲しているのが分かります。


これは絶対に食べなければれ!



「油揚げがあれば作れるんですか?」


「酢飯を作るのに『酢』って言う調味料が必要なんですけど、雑貨屋のキッチンに置いてますか?」


「そう言えば昔、酢が無いから鉄火巻きが食べられない!ってユウさんが落ち込んじゃった事があるんだけど、その酢?」


「それですシロさん!酢飯を作るのに必要なんですけど、そっか酢は無いのかぁ」



なっ、なんて事やの!


これほど身体が『いなりずし』を欲しているというのに食べられへんやなんて(悲)


まだ諦めたらあきません!


確かユウさんの料理スキルなら作り方さえ分かれば、どんな料理や調味料でも作れたはず。



「ナツミさん、酢の作り方は分かりますか?」


「えっと、米を酢酸発酵させて作るんですけど、酢酸菌っていうのが必要ででもそれは専門の業者さんから買う物だから、、、」


「なるほど、必要な物が分かれば問題ありません。私は今からユウさんに酢を作って貰いますから、ナツミさんは『いなりずし』の準備をお願いします。」


「はっ、はい、それは良いですけど酢ってそんなに短時間で出来る物では無いですよ」


「ユウさんは料理スキルのレベルが10ですから、その辺りは心配無用です♪」



「じゃっ、じゃあ梅干とか納豆も短時間で作れるんですか?!」


「作り方さえ分かればですけど」


「大丈夫です!どちらの作り方もバッチリです♪ヨウコさんにお願いがあります。」


「ナツミさんには『いなりずし』を作って貰いますし、そのお礼という事で遠慮せずどうぞ」


「ありがとうございます!私、いなり寿司の他にも油揚げを使った料理を沢山作りますから、ユウさんに梅干と納豆も作って貰えるように一緒にお願いしてくれませんか?」


「そんな事でええなら任せとき!」


「やったぁー♪これで朝に納豆が食べられるぅー(泣)」



「ナツミさん、泣くほど喜んでるところ悪いんですけどそろそろ時間が、、、」


「あっ、はい!次回は気合いを入れていなり寿司作りますね!」



次回の雑貨屋は


『醸してます。』


をお送りします。お楽しみに!





ここまでお読みいただきありがとうございました、次回まで皆様お元気で。


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