第13話 水羊羹

皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは、雑貨屋店長のユウです。




ズズッ、ズズーー、、はぁ~、ミシェルさんが入れてくれた緑茶が美味しいです♪



「ユウさん!この水羊羹は普通のあんこですか?あんこなのに凄くなめらかです!」


「それは『こしあん』を使っていますからね。『つぶあん』の水羊羹もありますから良ければ食べ比べをしてみて下さい。」


「喜んで♪」



ふふふっ


ミシェルさんに水羊羹を喜んで頂けて嬉しいですねぇ、『つぶあん』は今までもお菓子に使っていましたが


『こしあん』は作り方の詳細を知らなかったので何回か試作をして、今回初めて水羊羹に使ってみました。



「ズズー、はぁ~、癒される。なぁユウさんこの緑色のお茶は雑貨屋で売ってるのか?」


「そちらはグスタフさんのお店にありますよ。貴族向けに仕入れたらしいですけどまったく売れず、廃棄寸前のところを安く買いました♪」


「何?!こんなに旨いのに売れなかったのか?」


「色の問題でしょうかねぇ?」



先程から私とミシェルさんと一緒に水羊羹と緑茶を堪能しているスミスさんは、よほど緑茶が気に入ったのか5杯目のおかわりをしています。


せっかくですから緑茶を広める為にも、もっと和菓子を作りましょうか


作り方が分かる和菓子となると『シベリア』くらいですね。


『シベリア』はカステラであんこや羊羹を挟んだ、菓子パンとも和菓子とも言えそうな見た目の食べ物です。


大正時代には全国のパン屋さんで売られるくらい人気だったそうですが、今はスーパーでも売ってるらしいです。



何ですか?


『シベリア』は懐かしいから買って食べるけど、勇者はどうしたのかって?


前回皆様にお約束した通りミシェルさんと水羊羹を堪能する『ほのぼの回』を、スペシャルエディションでお送りしようと思っていたのですが


はっきり言って勇者の話は面白くありませんよ?



スペシャルエディションなんて言って特別感を出してるけど、総集編を流して収録時の裏話をするだけだろうって?


ギクッ(汗)


そっ、そそそそ総集編なんて流すわけ無いじゃないですか、やだなぁ~、アハハハハ


雑貨屋の総集編なんて作っても盛り上がる場面は、閉店後の店内の掃除になってしまいますよ


魔法を使って掃除をしますから、初めて見るならそれなりに面白いとは思います。


おっと!


残り時間も少ないですし、さくさくっと勇者の話をして終わりましょうかね



前回、冒険者ギルドにやって来た勇者は何処で情報を得たのか、この街に『死神』と呼ばれる暗殺者が住んでいるのを知って仲間にしようと考えたらしいんです。


冒険者ギルドに来たのは『死神』の情報を求めての事だったのですが、そこでスミスさんが知らぬ存ぜぬで勇者を追い返してくれれば面倒も無かったのに


慌てて雑貨屋に居る私に知らせに来たものですから、勇者がスミスさんの後を付けて来てしまいました。


『勇者』と名乗るだけあってスミスさんに気付かれないレベルの『気配遮断スキル』を持っていたのには、素直に賛辞を贈らせて頂きました。


まぁ、勇者の着ていた鎧が無駄に豪華に見える、金メッキされただけの鉄製のフルプレートアーマーだったのには驚きまたけどね(笑)


もしかしたら『勇者召喚』したは良いけど

、勇者の頭がお花畑だった為に持て余して放りだしたのかもしれません


でなければ金メッキの鎧を喜んで着る人など居ませんよ。



それで雑貨屋まで来た勇者なんですが


「ここに死神が居るんだな?喜べ死神、勇者である俺の女にしてやるから早く出て来い!」



とまぁ凄く分かりやすいザコキャラ発言を、道行く人達が一斉に振り返るくらいの大声と、それはもうビックリするくらいのドヤ顔で言いましてね


結果


勇者は街の中央広場まで吹き飛んで行きました。


どうでしたか?


私が言った通り面白い場面は無かったでしょう?




勇者が吹き飛んだ理由を知りたいと仰るのですか?


雑貨屋の前で大声を出していたら、普通は吹き飛びますでしょう?


ご近所迷惑ですし、『俺の女にしてやる』などと下品な発言もありましたから、普段は温厚で女神のようなミシェルさんであっても


勇者の鼻の下『人中』に、ねじり込むように見事な左ストレートを放つくらいにはお怒りでしたから(汗)



その後


中央広場で寝ている勇者に冒険者ギルドに来る直前くらいからの記憶と『死神』の記憶を消去して、お酒をぶっかけておきました。


目が覚めたら記憶が無くなるまでお酒を飲んだと思うでしょう♪



皆様も迷惑行為をして殴り飛ばされないように、、、


そちらの世界では迷惑行為に対して殴り飛ばしちゃ駄目なんでしたっけ?


こちらの世界では殴り飛ばすのは常識ですし、私もこちらの世界に来て3年が経ちましたから


すっかり元の世界の常識を忘れていましたよ、あはははは♪




さてさて


次回の雑貨屋は


『タピオカミルクティーブームは何処に行ったのか、大調査スペシャル!』


をお送りするかもしれません、お楽しみに♪


※予告内容は変更される場合があります。





ここまでお読み頂きありがとうございました、次回まで皆様お元気で。


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