第9話 ハイカーです。

皆様


おはようございます、こんにちは、こんばんは、ハイカーのユウです。



『ハイカー』の正確な意味は分かりませんが、ハイキングをする人の事を『ハイカー』と言っていたような気がします。



そんなこんなでこちらの世界はすっかり春です!


爛漫で満開で花粉でGOです♪


特に意味はありません。


そちらの世界はそろそろ本格的な冬がやって来た頃でしょうか?



「グモォォーー!」



春という事で、今日はお花見の下見も兼ねてお弁当を持ってミシェルさんと一緒にハイキングに来ております♪


なので今の私はハイカーです。



「ゲギャーーー!」



少し周りが騒がしいようですがお気になさらず。


え?


やはり気になりますか


この世界には魔物が存在している事は皆様も既にご存じの事と思います。



「ギョエェェェェ」



そして魔物はだいたい何処にでも出没します。


街道や街には魔物避けの魔道具が設置してありますからそういった場所に魔物は来ません


100%という訳にはいきませんけれど、それなりに効果はあります。



それじゃあ魔物避けの魔道具が無い場所はどうなのかと言いますと



「ギュピィィィィ!」



それはもう普通に魔物が出ますね、ですので先程から聞こえる不快な悲鳴は


ミシェルさんがクナイを投げて討伐された魔物の断末魔です。


森の中の少し開け場所で呑気にお弁当を食べていたら、そりゃあ魔物も寄って来ます。


むしろ魔物からすれば私達の事は急に現れた高級なステーキくらいに思っているでしょうから


あ!


皆様大丈夫です、私は自分の価値というものを理解していますから


高級なステーキはミシェルさんで、私は添え物のポテトかコーンほどの価値しかありません



勿論、ポテトやコーンを馬鹿にしている訳ではありませんよ、あくまでも魔物目線で考えたらという事です。


ポテトとコーンは塩コショウをしてバターで炒めたら最高に美味しいですよね♪





「ユウさん、ここはお花見には適していないようです。」


「そうですね、結界を張る事も出来ますけれど魔物が視界に入るとせっかくのお弁当も、、、


いえ、ミシェルさんの作ってくれたお弁当なら何処で食べても最高に美味しいです。しかし、魔物が見えると子供達が怯えてしまいます。」


「もう少し街道に近い場所か街の近くで探しましょう。その前に、ユウさん口を開けて下さい」


「あ~」


「はいどうぞ」


「もぐもぐもぐもぐ♪」


「どうでしょうか?たまたまコカトリスの卵が売っていたので、それで作ったたまご焼きなんですけど」


「濃厚な味でとても美味しいです♪ミシェルさんの手料理が食べられて私は今とても幸せです♪」


「では膝枕をしますので寝て下さい」


「おや?突然の嬉しい提案ですが、お花見の場所探しをしませんと」


「食べて直ぐ動くとオークになります」


「それは嫌ですね(汗)」


「はい、なのでユウさんは私の膝枕でしばし休息をしなければいけません」


「そういう事であればしかたありません、ここはミシェルさんに甘えるとしましょう、よいしょっと」


「ごゆっくりどうぞ♪」


「ブュギャーーー!」



ふふっ、今の私には魔物の断末魔も子守唄に聞こえてしまいます。


今日はこのまま春の陽気を堪能するとしましょうか♪





ここまでお読み頂きありがとうございました、次回まで皆様お元気で。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る