第2話 イチオシ商品
皆様
おはようございます、こんにちは、こんばんは、雑貨屋店長のユウです。
さっそくですが今日は雑貨屋のイチオシ商品を紹介したいと思います。
何ですか?
異世界に居るなら冒険したり魔物を討伐したりしないのかって?
しませんけど何か?
冒険者ギルドにも行きませんから新人潰しのお馬鹿さんの出番もありませんし、悪徳領主や悪役令嬢に追放されてからの復讐もしませんけれど何か?
雑貨屋の店長に過度な期待をしないで下さいよ
そういうのはチート無双出来る方達にお任せしますので。
それではさっそくイチオシ商品を紹介しましょう♪
エントリーナンバー1番
『木彫りの熊さん』
なんとこの木彫りの熊さん、私の手作りなのですよ!
私ってぇ~、勇者召喚されたじゃないですかぁ~、、、
あれ?
ご存知無い?
・・・(汗)
私3年ほど前に勇者召喚されて異世界に来た水野優一(みずのゆういち)という者なのですけどね
勇者召喚される人ってこっちの世界で凄く才能がある人が選ばれるらしいんですよ、私も勇者召喚された影響でしょうか
なんと器用さがレベル10だったんです!
レベルは10までしかないのでMAXレベルのMAXマンですよ♪
何の苦労もせず人間国宝を越える器用さを手に入れたと思って頂ければ凄さが分かるかと思います。
そして、ナイフ1本5分で彫り上げたのがこの『木彫りの熊さん』なんです。
ちゃんと口に鮭を加えた凛々しいお顔の熊さんで、私の自信作です!
昔は何処の家の和室にもお土産で貰った木彫りの熊さんが置いてあったのを思い出して作ったんですけれど
どうしてなのか全く売れませんでした(悲)
ちゃんと綺麗に色も塗ったんですけどねぇ
雑貨屋のレジの後ろに飾られた熊さんも心なしか寂しそうです。
ですが私は気付きましたよ!
森に入れば直ぐに魔物に遭遇する世界なのですから、鮭を口に加えただけの熊さんでは迫力が足りないのだとね!
そうして作った熊さん2号はなんと、右前足で川に居る鮭をガッサァー!と捕まえようとしている、躍動感溢れるワンシーンにしてみました。
皆さんの大好きな『ベアクロウ』を放つ瞬間ですよ♪
好きですよね『ベアクロウ』
日本語で言うと『熊の爪』ですけれど、『ベアクロウ』って言うと途端に皆から愛される愛され爪になるじゃないですかぁ
鮭を捕るならベアクロウ!
爪楊枝の代わりにベアクロウ!
騎馬戦で相手のハチマキを取るならベアクロウ!
浮気をした彼氏にベアクロウ!
ほら
どんな場面でも『ベアクロウ』を放つだけで素敵な青春の1ページになりますね♪
とても素敵な熊さん2号だったのですが、何故だか売れませんでした(悲)
レジの後ろに飾られた熊さん2号のベアクロウも、心なしか威力が弱くなっている気がします。
どうして売れないのでしょう?
人気のお土産だと思うのですけれど、もしかして沖縄のシーサーの方が良かったのでしょうか?
魔物が存在する世界ですから魔除けの意味もあるシーサーが喜ばれそうですね、そうと決まれば材料の粘土を探しに行きましょう!
シーサーは焼き物ですからね、良い粘土が必要なのです。
「店長ぉ~、お昼休憩に行くんでレジお願いしま~す。」
「はーい」
おっと
どうやら粘土探しは延期しなければなりません、仕事をサボるとミシェルさんに怒られてしまいますから
あぁ~
皆さんミシェルさんが気になるのですね?
分かります。ミシェルさんは可愛いですからね♪
今しがた休憩の為にお店の奥に行ったのが、私と一緒に雑貨屋を経営しているミシェルさんです。
そうです、私が勇者召喚された時にお世話係りとして付いてくれたメイドさんですね
お店の奥と2階が住居になっている、店舗兼住宅を購入して一緒に住みながら雑貨屋を経営しています。
「店長ちょっと良いですか?」
おや?
休憩に行ったはずのミシェルさんが戻って来ましたね、お財布でも忘れたのでしょうか
「何でしょうかミシェルさん」
「木彫りの熊が売れないからって、代わりにフォレストタイガーを作ったりしないで下さいね。これ以上レジの後ろに飾るスペースは無いですから」
「もっ、勿論ですよ(汗)」
「分かってるなら良いんです。それじゃあ休憩行って来ま~す♪」
ふぅ~
大丈夫です、皆さんの言いたい事は分かります。
私『あほ』かもしれませんけれど『馬鹿』ではありませんから、あそこまで言われて
木彫りの熊さんが売れないから、剥製として人気のあるフォレストタイガーを作ろう♪などと思ったりはしませんから
同様に、木彫りじゃなくて焼き物なら良いよね♪ってシーサーを作ったりもしませんので
ですが、このまま木彫りの熊さんが売れ残るのはよろしくありません
木彫りの熊さんが欲しいという方はお店に来た時に
「動画を見た」
と言って頂ければ九割引で販売しますので、お気軽にどうぞ♪
え?
動画が何処で見れるのか分からない?
大丈夫です。
「動画を見た」
と言って頂くだけでOKですので
それではご来店お待ちしております。
ここまでお読み頂きありがとうございました、次回まで皆様お元気で。
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