告白
私は中途半端な男です。
何をやろうとしても途中で終わり、完結させたことがない。こだわりがない。何かに狂えない。かといって消極的でもない。とっかかりだけものすごく情熱的なのです。
女に興味のないふりをする。人の性格に合わせようとする。こだわりがあるように振る舞い、薄く浅はかな断言を何遍もする。気を衒うことばかりに気を使い、少しでも少数派の主観的な感情に浸れるとたちまちに歓喜する。
私は空っぽではない。三分の一満はたされています。厄介なことは無能ではないと言うところなんです。中途半端にも!
ナンバーワンにもオンリーワンにもなれないのです。これは生まれつきの体質、いや才能、いや運命なんです。そういう星の元に産まれてきたのです。いや彼ら彼女らがとてつもない努力を費やしていることは分かっています。分かった上で言っているのです。なぜなら私は努力も才能の一部だという、禁忌にも似た真実を盲信している節があります。本当に愚かであります。
またそうやって客観的な視点に立てていることに安心感を得ているのです。一歩下がったところから自分が見れる、つまり自分をしっかりと制御できていると錯覚を覚え快感を得るのです。そしてまた快感を覚えた自分にどうしようもない嫌悪感を抱くのです。
トマトとコーンが嫌いです。理由もなくです。
恋愛はナルシシズムだと思っています。嫌いな自分を愛している人をどうして愛すことができるでしょうか。しかし恋愛を私はしなければなりません。なぜなら孤独で死ぬのが無性に嫌だからです。思春期に就寝前考えたことがありませんか。あのどうしようもない宇宙を。あのどうしようもない死を。孤独や絶望感からは絶対に逃れられません。中途半端な私でも断言できます。奴らからは逃げるしかないのです。だから私は恋愛がしたい。恋に溺れて永遠の愛をちぎり、来世をも見据えたいのです。
しかし先に言うた通り私は私が嫌いです。中途半端な自分。魅力のない自分。だから私は縁のない方だと思っておりました。
しかし、しかし!私はあなたに一目惚れしてしまいました。自分のことなどどうでも良くなるくらい私はあなたに恋をしました!自分を愛してくれなくても手中に収めたいと思うほどに!あぁこれが恋なんだと分かりました。あなたのおかげなんです。詭弁だと分からせてくれたのです。
どうか、どうかこんな私と付き合ってください!
ごめんなさい。彼氏いますので。
ありがとう!
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