「特急列車」

 その列車は、幻想的な風景の中を走り抜けていく。

 何両あるのだろうか。果てしなく長いその列車は、どこまでも伸びていた。

 それは古めかしい、蒸気機関車だった。

 山を越え、谷を抜け空を飛び、列車は停まることなく走り続けていた。

 列車に名前はない。

 列車はどこまでも走り続ける。

 世界に終りが来るまで。



「ロンよりショウコ」


ショウコ「あの…この列車、勢いで乗ったのいいんですがどこに行くんですか」


ロン「さあ、駅もない所にいきなり現れたからね。勢いって怖いね」


ショウコ「怖いですね」


ロン「切符とか持っていないから、車掌が来たら買わないといけないね」


ショウコ「この世界のお金なんて持っていないですよ」


ロン「いざとなれば、持ち物を売ればいいさ」


ショウコ「誰にですか。周りに乗っている人たち、みんなとっても静かなんですけど…というか、人でないのもいるみたいなんですが」


ロン「人、亜人、宇宙人…知性を持った生命体が乗っているみたいだね」


ショウコ「このテの列車って、もしかして…」


ロン「なんとなくパターンが分かってきたぞ」


ショウコ「あっ、ポケットに切符らしきものが入っていました…」


ロン「すごく、怪しいな」


ショウコ「行き先『死者の国』って書いてありますゲド!」


ロン「よし、飛び降りよう」


ショウコ「ええええええええ! 死んじゃいますよう!」


ロン「大丈夫さ。どうせこのままだと死者の国行きだ」


ショウコ「そんなぁ~」 

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