第2話 宇宙連邦施設団

「受け入れを感謝します」


 宇宙連邦オリオン大星雲施設団を名乗る10名の男女、そのリーダーとしてふるまう女性はにこやかに言った。

 どうみても東洋系の女性に見える。20歳前後の美形であった。


「あなた方の安全のため、行動の自由を制限することをご理解ください」


 どこかの馬鹿が「防衛行動」を取らないとは限らない。地球人は宇宙的規模では「未開人」なのだ。


「わかります。ご指示に従い行動します」


 彼女は「個体名」を持たないと言うが、地球人の便宜上ジェーンと呼ばせてもらった。使節団の団員同士、というよりも宇宙連邦市民同士の間ではいわゆるテレパシーが交わされていると言う。


 個体としての自我を持ちつつ、集団としての意識や思考を兼ね備えているそうだ。隠し事はできないということになる。


「あなたの言葉を疑う訳ではないが、お互いの安全のため、検疫措置を取らせていただきます」


 使節団10名、いずれも20歳前後の美男美女であったが、彼らはバイオセーフティレベル4(BSL4)相当の施設に隔離される。もちろん、ありとあらゆる防疫検査を行った後にだ。


「結構です。我々は結果を急ぎません」

「無粋ではありますが、我々とあなた方の会話はモニター越しということになります。これもご理解ください」

「問題ありません。簡潔に意図を伝えるため、我々の来訪目的を文書化してあります。送信しますので、まずそれをお読みください」


 人類が受け取った「オリオン書簡」は、信じがたい内容の物であった。

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