第12話 2度目の関係

次の日――――




ドキン…



目を覚ました視線の先には悠飛の姿。




「…そうか…昨日…」




私は朝御飯の支度をする。




「悠飛君、朝だよ。起きて」




目を覚ます悠飛君。




「…沙耶華…あっ…そうか…俺…昨日…泊まったんだ……」


「そうだよ。仕事、遅れないようにしないと」




「………………」



「悠飛君?」




グイッと引き寄せると私をベッドに引き摺り込むようにすると、私の両手を押さえ股がる。



「…ちょ、ちょっと!悠…」



キスで唇を塞ぎ、唇を離すと私を抱きしめるように顔を埋めた。



「悠飛…君…?」

「奥さん以外と身体の関係…」


「うん…私も旦那以外と関係持ったからお互い様でしょう?」


「初めて…今までにない感覚」

「感覚?」



バッと離れ、ベッドから出る。



「スーツ…」

「えっ?」

「旦那さんのスーツ…合うかな…?」

「ちょっと待って」




私は洋服ダンスを見てみる。


悠飛君が似合いそうなスーツ。


何着か照らし合わせてみる。




「旦那さんのも、いつも選んでるの?」

「えっ?ううん。旦那任せだよ」

「そうなんだ」

「うん。悠飛君は?選んでもらってるの?」

「いいえ。自分で選びます」

「そっか」



そして悠飛君と話し合いながら一緒に選ぶ。




「よし!これでOK!」




グイッと後頭部を押し、キスをされた。



「サンキュー」




ドキン



《その笑顔は反則だよ》




私達は、朝御飯を済ませ別れた。





その日の夜。


私達は、いつものバーで待ち合わせをした。




「沙耶華さん。これ、ありがとうございます」


「ありがとう。いつでも良かったのに」


「そういうわけにはいきませんよ。バレた時は遅いから」


「そうか」


「それじゃ、今日は帰ります」

「あ、うん。わざわざありがとう」




私達は別れる。





俺は自分のマンションに帰る。




「男のくつ?」



ゆっくり部屋に入ると目を疑う光景を目の当たりにし部屋を後に出て行った。






♪♪♬…


【沙耶華、今、何処にいる?】



♪♪♪〜…


【今、帰って来た所だよ。どうしたの?】




♪♪♬〜…


【逢いたい】





   ドキン




   「悠飛…?」





♪♪♪〜


【どうしたの?意味深メール】



♪♪♬〜…



【話があるんだ。部屋に帰って来て申し訳ないけど

出て来れる?】





♪♪♪〜…



【それは良いけど…】



♪♪♬〜…


【マスターの所で、今一度、待ち合わせしよう。待ってる】





私は出掛けた。




そして――――





「こんばんは。マスター、悠飛君は?」


「再度いらっしゃい。沙耶華ちゃん。悠飛君ならそこにいるよ」



カウンターに顔を伏せている悠飛君の姿。




「一体何があったの?」

「さあ?来て早々、一気に飲み干して、これだから」

「…悠飛…君?ねえ…大丈……」




バッ


顔をあげる悠飛。



ビクッ



「夕佳が…男とキスしてた!」

「えっ?またまた〜、来て早々、冗談にも程が…」



「………………」



「…本当なの…?」

「…沙耶華さん…付き合って下さい」




悠飛君は、お酒を飲み私は、酔っ払った悠飛君を私の所へ連れて行く。





ドサッ

ベッドにおろす。




「…悪い…沙耶華…」



ドキン


呼び方や話し方が違うと、胸が大きく跳ねる。




「本当ならショックなんだろうけど…すっげー…冷静な自分いんの…マジ、俺…最低だ…」


「そんな事ないよ」


「…沙耶華…」




「だから、気落とさないでね」

「サンキュー」

「じゃあ、私、シャワー浴びてくるから横になってて」

「…うん…」





私はシャワーを浴びる事にした。



シャワーを浴び、出て来るのと同時に、トイレから悠飛君が出て来る。




ドキン




「シャワー浴びる?サッパリして気持ち良いよ」

「そうさせて頂きます」

「うん」



私は着替えを出しておいた。




少しして―――



「コーヒー、飲む?作るよ」

「ありがとうございます。頂きます」



私はコーヒーを作る。



「昨日の今日だから不思議な感じ」

「そうだね」

「俺…こっちに引っ越そうかな?」

「あのねー…」

「嘘だって」



「悠飛君、奥さんには確認した方が良いよ」

「分かってる…」



「……………」



「…沙耶華…」

「ん?何?」


「…もし…沙耶華の旦那さんも、俺の奥さんも浮気してたら…」


「えっ?」


「お互いのパートナーが、自分のパートナーと浮気してたらどうする?」


「どーするも何も…」





グイッと引き寄せるとキスをした。




「…悠…」



再びキスで唇を塞がれ、深いキスをされ、何度も何度も角度を変え繰り返され吐息が洩れる。



そして私達は、また、関係を持った。






身体だけの関係


それでも良い……


そう思っていた




・・・でも・・・























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