第10話 居場所


あれから1か月――――――





        メールが入ると



必ず飲みに来る



       あなた





          恋人同士のように



待ち合わせをして



           幸せで



  楽しい時間を過ごす






       そして――――





   その時間を



        満喫していた




自分の想いを



       何度も 何度も



押し殺して・・・・・









「それじゃ、沙耶華さん、俺はこれで」

「あ、うん。それじゃ」




悠飛君は帰って行く。


奥さんが週末戻って来ているからだ。



「…マスター…」

「ん?」

「こんな事…本当はいけないよね…」



「それはね…勧めるわけじゃないけど、でも沙耶華ちゃん、とても輝いているよ。悠飛君といる時、凄く楽しそうだよ。旦那さんは知らないだろうからね」



「うん…悠飛君の奥さんも知らないから…」

「そうだね」



「…本当に…これで…良いのかな…?こんな状況…ズルズル続けたら…」


「そうだね…沙耶華ちゃん…辛いだろう?」


「…それは…」








  あなたの居場所は



        ここじゃない





   だって……




     あなたの居場所は



       きちんとあるのだから――――






    ねえ……



         悠飛……




   あなたにとって



           私は



どんな存在なの…?




        友達?



           元会社仲間?




私にとって



     あなたは



とても大切で






     そして――――





あなたを……




     愛してます……







ある日の週末。



「悠飛…私…あなたが好きだけど…最近、悠飛の事が良く分からないの」


「…夕佳?」


「子供は出来ないし…私…不安ばかりで…このままで良いのかなー?って……悠飛、離れたりしないかなー?とか凄く不安で……心配で…」




「………………」




「…夕佳…そんなに急がなくても…子供は必ず出来るから」


「…悠飛…うん…」



二人は抱きしめ合う。



✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「…悠飛…何してるんだろう?」



私は携帯を手に取る。




「…………………」




「駄目だ……出来ないや…」




しかも、今日は週末だ。


奥さんは必ず戻ってきている話だから。


結局、私は、何もせず携帯をおいた。






勇気が出ない


あなたと


メールをしたいけど


奥さんにバレたら


どうしよう……?




・・・なんて・・・




そんな不安や心配が過る





・・・片想い・・・




こんなに


辛かっただろうか……?



恋をしている時って


とても楽しくて


仕方がないはずなのに




・・・なのに・・・




どうして


こんなに辛いの?




悠飛に逢いたい……




この想いは


届かないのでしょうか・・・?







♪♪♬〜…


【こんばんは】




    ドキン…




【ユウヒです】

【今日、奥さんに泣きつかれた】


【あそこまで泣きつかれると、どうすれば良いのか分からない】


【俺に何が出来るのか?なんて考える】






♪♪♪〜…


【ただ傍にいてあげるだけでも良いんじゃない?】

【ていうかメールバレたら…】




♪♪♬〜…


【奥さんは、もう寝た】




♪♪♪〜…


【だったら一緒に寝たら?】




♪♪♬〜…


【沙耶華は大丈夫?】

【一緒に寝なくてもいい?】




♪♪♪〜…


【私は大丈夫だよ】



♪♪♬〜…


【そう?沙耶華、明日、待ち合わせしよう】



♪♪♪〜…


【仕事の都合がついたらね】

【約束は出来ない】




♪♪♬〜…


【冷たいなー】




♪♪♪〜…


【悪かったですね!】

【もう寝るっ!おやすみ!】



♪♪♬〜…


【えっ!?寝るの?】

【もっとトークしよう♪】



♪♪♪〜…


【いや!またね】



♪♪♬〜…


【分かった。おやすみ】







「………………」






あなたからのメール


嬉しかった




だけど……




あなたに逢いたくても


逢えないのは


辛い……





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