第6話 転勤

「今月をもって海山君の転勤が決まりました」


「今月まで、お世話になりました。残り僅かですが、宜しくお願いします」



海山君の転勤が決まった。



その日の夜、早目の送別会があり、その後、いつものバーに私達は移動し現地で待ち合わせをした。




「こうして飲めなくなるんですね…」

「別に私は、仕事帰り毎日寄るし」

「じゃあ、俺も足運ぼう!」


「…あのねー、簡単に言わないの!お互い結婚してるんだから、ラブラブ夫婦は真っ直ぐ帰る!」


「えーーっ!良いじゃないですか!」

「駄目!」

「どうしてですか?」


「どうしても!あ、それより、どうなの?子供は、まだ?」


「はい。まだですよ。崎戸さんは?」

「いたら、お酒は飲んでません!」


「確かに…え、でも4年もの間、夫婦関係ないわけじゃないないんですよね?」


「ちゃんとあります。そういう自分も夫婦関係あるわけでしょう?」


「ありますよ」


「それなのに出来ないのは…?」


「さあ?俺の腕が悪いからじゃないですか?」



「ぶっ…ゲホッ…ゲホッ…」

「大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫…大丈夫だけど、そんな可愛い顔してサラッと言わないでよっ!バカっ!」


「えっ?そんなつもりはないけど…」


「あなたが、そうだとしてもイメージっていうものが…ギャップって言うの?」


「そうですか?…じゃあ…どんな俺で言った方が良いんでしょうか?」


「知りませんっ!」





私達は騒ぐ。





そして――――




「……戸さん…崎戸さん…起きて下さい」

「…ん…」



私は目を覚ます。




「…ご、ごめんっ!寝てた…ごめん…マスター」

「いや、良いよ。とっくに店閉めてるし」

「そう?本当、ごめんね」

「いいえ」


「海山君もありがとう。私の事は放って帰れば良かったなのに。奥さん、心配してるよ」


「大丈夫です。連絡はしておいたし」


「そうか…さあ、帰ろうかな?」




私達は、お店を後に帰るのだった。






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