第5話 不妊症!?

月曜日――――




「崎戸さん」

「あっ!おはよう。海山君」

「おはようございます。あの…この前は…」

「何の事?」

「いや…」



ピタッと足を止める。



「何?私は大丈夫よ!」



グイッと腕を掴み引き寄せる。



「…そっちは大丈夫だったの…?」


「えっ?あ、はい。俺、あの日、偶々、前の職場の仲間と会う約束していて、その帰りだったので」




パッと離し歩き出す。



「そう」


「はい。奥さんに連絡されていたらいけないと思って上手く理由言いました。疑う事もなく納得してくれましたが、まあ、本心は分からないからあれですけど、分からないものは分からないし考えるだけ無駄なので」


「まあ…そうだろうけど。あなた達がそれで良いなら…いや…本当は駄目なんだけど」


「まあ…でも、なんか二人しか知らない秘密ってワクワクしますね。お互い真相が明らかになっていないのが、また、良いですよね?」



「あのねー…」



クスクス笑う海山君。



「仕事人間のイメージの崎戸さんだからこそ、そういう部分を垣間見ると、なんか可愛いというか…プライベートの崎戸さんを、もっと見てみたいですね」


「見る必要ないし!」



私達は騒ぎながら職場へ向かった。





その日の夜――――




「マスター、この前はごめんさない」


「いや、良いよ。俺で良いなら愚痴でも何でも聞くから。大丈夫だったかい?」


「うん。本当、ごめんなさい。あの後、旦那が謝ってきて仲直りした」


「そうか」



私はマスターと色々と話をし、お酒を飲む。





そんなある日―――――




「悠飛。私…やっぱり子供がほしい!しつこいかもしれないけど…全然、子供を授からないのって…不妊症なのかな…?」



「えっ?」


「だって…ねえ、病院に行ってみよう。これって…どっちかに原因あるわけでしょう?」


「それは…」


「私…すっごいほしいのに…どうして…?」


「夕佳…」


「…ごめん…」


「…いや…」





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「沙耶華、子供の兆候ないのか?」

「…ないよ…不妊症かな…?」

「えっ…?」


「いや…出来ないって事は…どちらかに原因あるって話だし」




私達は、お互い病院に行く事にした。



結果、異常はなかったんだけど――――






それから一ヶ月が過ぎ――――




「先輩、飲みに行きませんか?」

「えっ?」

「お願いします!」

「私よりも他の人が良いんじゃないの?」

「先輩が良いんです」



そして、私は後輩の飲みに付き合う。


彼氏と色々あったらしく、大人の意見含み、快く聞いてくれる私に聞いてもらいたかったと言うのだ。




「先輩、ありがとうございました!楽になりました」

「それなら良かった」



私達は別れる。



別れた後は、いつものバーに足を運ぶ。



「こんばんは!」


「沙耶華ちゃん、いらっしゃい」


マスターが笑顔で出迎える。



そして、カウンターで飲んでいる人影が振り返る。




「崎戸さん?」

「…海山君?」

「二人とも知り合いなの?」



マスターが尋ねた。



「同じ職場だから。あ、ちなみに彼が転勤してきた男の子」


「前に言ってたね。そうだったのか」


「うん」



私はカウンターに向かう。




「海山君、誰かと待ち合わせ?」

「いいえ」

「そう?」

「隣どうぞ」


「えっ?でも、奥さんの耳に入ったらいけないから。誰に見られるか分からないし」


「大丈夫ですよ」


「いやいや」



私は隣に座ろうとせず、距離をおくように腰を降ろそうとした。





グイッと手を掴まれる。



ドキッ




「遠慮しないで座れば?」



ドキン



「距離おく方が不自然でしょう?崎戸さん美人なんだし、一人でいる方が危険ですよ」



「………………」



「ほら、早く!」




そう言って、私を隣に座らせる。



「…マスター、いつもの」

「OK!」


「常連客の言葉(セリフ)すげー。カッコイイ、大人女子だ!」


「えっ?そ、そんな事ないわよ。毎日来ているだけ」


「だから言えるんでしょう?また、崎戸さんの新しい所、発見した!」


「あのねー、上司をからかわないの!そういう海山君は?どうして?」


「あ、俺ですか?前の職場の人に良く連れて来てもらってたんで」


「へぇー、女?」


「違いますよ!男の人です」


「またまた〜」


「本当ですって」




私達は色々と話をしながら飲んでいた。






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