第20話 ディナーショー~

それから一年が過ぎ─────高3。




眞那斗への想いを無理して押し殺すかのように彰さんとの関係を築きつつ日々、過ごす。


勿論、身体の関係はある。


だけど眞那斗を忘れる事なんて出来なかった。


彰さんにも何度聞かれただろう?




「近々、両家で、ディナーショーに行かれませんか?この前、私の両親が、そう話をしていてチケットは既に手配しているそうなので」


「あら~、宜しいですわね?」


「それでは、そう、お伝えしておきます。日程は、また連絡します」




それから行く事となり─────




そこには────





ドキン



《…眞那斗…?》




──── 再会 ────




まさか こんな形で再会するなんて────





ピアノ演奏をする眞那斗の隣には


ジャズボーカリストの女性


息の合ったコンビで


みんなを魅了していた






そしてディナーショーの後、私はデッキを彰さんと散策中。




そこで────




「ねえ眞那斗」



ドキッ



そういう声が聞こえた。



そして眞那斗とジャズボーカリストの2人きりの姿が目に止まり眞那斗と視線がぶつかる。




ドキッ



「向こうに行きましょうか」




そう言うと眞那斗は彼女をエスコートするように私の前を去って行き私は、その後ろ姿を見つめる事しか出来なかった。





お互いパートナー(相手)を連れた


真夏の夜の下


暑い夏の夜も


心は寒い冬の夜




隣の相手(パートナー)は違うけど


心の中の相手(パートナー)は


ずっと傍に


私の心の中にいた




そして


心の中の想いが溢れそうになる






───── あなたが好き ─────







「…沙夜華…」と、彰さん。


「…ごめんなさい。行きましょうか」

「…ええ」





私達の距離は


ゆっくり ゆっくりと


離れて行き始める





そして夜も更けた頃──────





「彰さん」



私は部屋のドアの前に訪れた。



「……………」



「寝てるのかな?」




私は、ゆっくりとドアを開ける。



ドキーーッ



「ご、ごめんなさい」




私は謝り慌ててドアを閉めた。




「……今の…」




私の耳に飛び込んで来たのは、眞那斗と一緒にいたジャズボーカリストの女性の姿。


彰さんとその女性がキスをしていたのだ。




私は見間違いかと思い今一度ドアにある窓から確認する。



2人は激しくも濃厚なキスを繰り返しながら2人の洋服がはたけていきつつも上半身裸になっていき倒れていく。



女性はかなり大胆な行動で彰さんの上に股がっている。


しかし、それに負けじと彰さんも彼女に応えて逆になり上に股がっている。




「……………」





そこにいるわけにはいかない事に気付き、ふと我に返って慌てて、そこから去り私はデッキに出た。




「…どうして…?…どういう事…?」



「沙夜華」



背後から声がした。



ビクッ

驚き肩が強張る。


私は見向きもせずに、すぐに謝った。



「ご、ごめんなさい彰さん…えっと…」

「…えっ…?」



《えっ…?》



振り返る視線の先には

ドキッ



「眞那斗…?」




私は手を離そうと振りほどこうとするも




グイッと抱きしめられた。



ドキン



「ちょ、ちょっと眞那斗!辞め…」

「気のせいじゃなかったんだな」

「…えっ…?」

「幻かと思ってた。まさか、ここにいるなんて思わねーし…」




抱きしめた体を離され向き合う私達。




「彰さんと何かあったのか?」

「う、ううん大丈夫。何でも…っ…」




キスで唇が塞がれた。



「…………………」



「…悪い…」

「ほ…本当だよ…ていうか…彼女に誤解される…」

「彼女?誰の事?」

「…一緒にいた…女の人…」

「彼女は何の関係もねーし」




「…………………」





「仕事のパートナーだけだけど。もし向こうが、そうだとしても俺は、そんな気にならないし第一、俺は、まだ…お前の事が忘れられねーし!」





ドキン




「…眞那斗…」




眞那斗は背を向け海原を見つめる。






✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕





「…良かったの…?さっきの子、婚約者じゃないの…?」


「婚約者です。でも彼女の心の中には私はいません」


「…えっ…?」


「彼女の心の中には心残りの人がいて俺じゃ彼の代わりは務まらない。あなたの方こそ連れがいらっしゃるのに良かったんですか?お付き合いされてるなら…」


「告白しましたがフラれました。心残りの人がいると…今も彼女を愛しているから。そう言われました」


「…そうなんですね…」






✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕



「何度も忘れようと思った…でも…無理なんだよ!お前の事、忘れたくても忘れられなくて…」




振り返り視線がぶつかる私達。




「…眞那斗…」

「…沙夜華…もう無理なのか? 本当に彰さんと…」

「…それは…」





私は さっきの2人の光景が浮かび下にうつ向く。




彼女にとって眞那斗は


どういう存在なのだろう?


もし好意があるなら


眞那斗は また


私の前からいなくなるのかな…?


そう考えると


このまま私は彰さんと……





「沙夜華…」



顔を上げる




「私だって忘れたくても出来なかったよ…だけど…もう…彰さんとは何度も関係持ってるから…もう…眞那斗とは…っ…」




グイッと抱き寄せられた。




ドキン




「…沙夜華…」

「…眞那斗…」




私は抱きしめ返す。




「………………」





抱きしめた体を離す。



アゴをつかまれキスをされ、つかまれたアゴから手が離れ、もう片方の手が私の後頭部を押した。



────深いキスをされた。




「………………」



視線がぶつかる。




私は眞那斗の両頬を両手で優しく包み込むように触れる。




「…沙夜華…?」


「…眞那斗…私は…あなたの事が…やっぱり好き…あなたを愛しています…」



「………………」





微笑む眞那斗。



ドキン





そして私の手の上に一瞬触れ、ぎゅっと握り私の片方の手を握り、グイッと引き寄せた片手を離すと腰と、もう片方の手で後頭部を押し息が出来ないくらい今までにない濃厚なキスをされ戸惑う私に首筋からゆっくりと唇が這い鎖骨から胸元まで唇が這う。



「ま、待って…眞那斗…ここ外…」

「知ってる」



再びキスをすると私の手を掴みそのまま異動する眞那斗。




「眞那斗…?何処行く…」

「内緒♪」

「内緒って…」




そして、とある部屋に来ては中に入れる。



「眞那…」



私の背中をドアに押しつけ、キスをされた。


そして、フワリと抱きかかえられ、お姫様抱っこされた。



「ちょ、ちょっと…眞那斗?」




私をベッドにのせ、私の上に股がった。



ドキン



「眞那斗…ま、待って!私、まだ彰さんとは…」

「俺達、愛し合ってるのに?」

「えっ?」

「相思相愛で願ってもいない、このチャンス逃す気ないけど?」

「…眞那斗…」



洋服を脱ぎ上半身裸になる眞那斗の姿に胸がドキドキ加速する。


そして気持ちが落ち着かないままキスをされ再び深いキスをされ私の洋服ははたけ肌が露になる。




「…沙夜華…俺だけの女になってほしい」




ドキン




「今日だけ…」

「…今日だけなんて…言わないで…」

「…沙夜華…それある意味問題発言」

「えっ…?」



微笑みキスをされ角度を変え何度も色々なキスを繰り返す。


私は気付けば眞那斗に身を委ね




「…沙夜華…」




ドキン…




『愛してる』





耳元で





そう




言われた









私は眞那斗に抱きつき、その後、今までに出した事のない恥ずかしい位の声が出てしまった。




眞那斗は私の頬に触れるとキスをし更に深いキスをする。



唇が離れ優しく頭を撫でる眞那斗。




ドキン



「彰さんとは別の部屋?」



ドキッ



「あ、うん。眞那斗は?」


「お前が、まだ心の中にいんのにプライベートまで同じ部屋なんてゴメンだし」


「…そっか…」




眞那斗はキスをし深いキスをされる。



「今日だけ…俺の傍で一緒にいてほしい」

「…眞那斗…」

「本当は、ずっと一緒にいてーけど」

「それは私も同じだよ」




私は眞那斗に抱き付き、キスをした。



眞那斗もそれに応えキスを返すと、そのまま首筋に唇を這わせ、徐々に下へ下へと唇が這い声が洩れる。




私達は再び愛し合う。










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