第7話 心の想い
「つまり彼女は、みんなに気を遣わないでもらいたい。普通に仲良くしたいって…お金持ちだからとか、お嬢様だからとかっていう特別扱いはしないで欲しいって」
「どうして眞那斗が、そういう事を知ってるわけ?」
元彼女が聞いてきた。
「ちょっと小耳に挟んだから。とにかく、そういう事だから普通に接して欲しいって。それをみんなに理解して欲しい」
その日の夜─────
「眞那斗いる?」
カチャ
部屋のドアが開く。
「お嬢様どうかされましたか?」
「クラスの子達に話したでしょう?」
「…あー、その事ですか?駄目でしたか?」
「そのままで良い!って言ったはずだけど?」
「そうでしたか?しかし、今更、撤回は出来ませんから…」
「それくらい分かってます!」
「………………」
「とにかく、その事を、お伝えしたかっただけです…」
そう言うと去り始める私。
そして足を止め。
「でも…ありがとう」
「…えっ?」
彼女が、そう言ったのが聞こえ、俺は笑みが溢れた。
そして私は、そこから去った。
ある日の事。
「お嬢様スクールライフはどうですか?」
「えっ?スクールライフ」
「楽しく過ごせてますか?」
「おかげさまで」
「それなら良かったです」
「…眞那斗…」
「はい?」
「ううん…何でもない」
それから数ヶ月過ぎ──── 12月
「時々、帰って来ていたものの色々と、おありのようで油断してました」
お母様が突然の帰国。
部屋に来るように言われた後の事だ。
「えっ?」
「あなた家政夫の方と、かなり仲良いみたいですね?許嫁がいながら親密な関係に近いんじゃなくて?」
「親密って…家政夫と仲良くするのはいけない事でしょうか?彼はクラスメイトであり同級生です!第一、お母様が彼を雇われたんでしょう?許嫁がいるからって他の異性と仲良くしたら駄目なんですか?」
「何かあっては遅いから忠告しているんです!」
「何もありません!お母様そういう事には敏感なんですね」
「えっ?」
「私は賀須日家の娘です!何かあったらって…私には許嫁がいるんですよ!」
「許嫁がいても、あなたは彼に好意を寄せてらっしゃるでしょう?」
「違います!」
「………………」
「…そうですか…分かりました。ただし…何か動きがありましたら彼は即クビにします!良いですね!」
ズキン
「彼は優秀な家政夫です!泥棒から私達を体張って守ってくれたんです!クビにするなんて私はともかく弟達が納得いかないと思います!そこは御理解して下さい!失礼します!」
私は部屋を出る。
「…大丈夫ですか?」
ドキッ
声がし視線の先には眞那斗がいた。
「…眞…那…ええ…大丈夫です…」
私は通り過ぎる。
グイッと片方の手を掴まれた。
ドキン…
顔をのぞき込むようにすると、もう片方の手で私の頭をポンとした。
ドキン
「元気出して下さい。お互い気を付けて行動すれば良い事です」
私はゆっくり頷いた。
そう言うと眞那斗は私の前から去り始める。
私は彼の背中を見つめる
あなたは家政夫
あなたにとって私はお嬢様
そして お互い
クラスメイトで
同級生
それ以外の何があるの?
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