第53話 久々に

この世界に来て最初の頃は頻繁に表れた神様たちも、1か月を過ぎた頃からはたまにしか顔を出さなくなった…

最初から当然の様に頻繁に表れてたから気付かなかったけど、よく考えてみればここに頻繁に顔を出すこと自体がおかしいんだよね

そのはずなのに、なぜか今、目の前に大集合している

「…なにかあったの?」

レオールと昼ご飯を食べ終えてソファーで寛ぎ始めたところだったんだけど…

流石にこのままスルーしてくつろぎ続けるのは違うわよね?

「別に何もないぞ」

「たまには揃って姿を見せるのもいいかと思って」

…?

この言い方だと側には居たって取れるんだけど?

「居たな。結構な頻度で。姿を見せるのはちょっと疲れるから控えてただけだ」

バッカスが即答した

「そう。居たの…」

っていうか疲れるんだ…

それでも側にいてくれてたってことには感謝すべきなんだろうけど

…なんでだろう?

何かが引っかかるのは気のせいだろうか…


「そうだバッカス、祝福ありがと。ザックも加護貰えたって喜んでた」

「え?」

レオールの言葉に思わずバッカスを見る

それは聞いてない

いつの間にそんなことを?

「おう。楽しそうに解体してるからついな。加護はついでだ。弟に叶わないとわかってるのに必死だったろ?同じ土俵に立たせてやりたくなった」

「ついって…そう言えばフローナもこの前、何の前触れもなく祝福与えてたわよね?」

「だって嬉しかったんだもの。刺繍が楽しいってあんなキラキラした笑顔で言われたらねぇ?」

“だって”って…“ねぇ?”って…

あまりにも軽く与えすぎじゃない?

こんな感じで与えてたらかごや祝福で溢れ返ってるんじゃ…

「大丈夫だ。皆人柄もAランク、さらにはミリアとの縁があるからな」

「私との縁?」

「ミリアがこの世界を好きになってくれる原因になり得る人って意味の縁ね」

「そういう意味ではレオールは特別だな」

「俺?」

レオール自身も驚いている


「お前には期待してるぞ?」

カンバルがその続きをレオールの耳元でささやいた

「!」

「ちょっ…レオール?」

突然半獣化したレオールに今度はこっちが驚く番だ

「俺頑張る…!」

「カンバル!やたら張り切っちゃったけど…一体何を言ったの?」

「ん?それはだな…」

「何でもない!」

レオールが遮った

「…そう?」

何でもなくはなさそうだけど…

レオールが何でもないというならそう言うことにしておくべきなのかな?

そう思って話題を変えることにした

物凄く気になるけどね?

だってレオールが思わず半獣になっちゃうほどなんだもの

まぁだからと言って無理に聞き出すのは違うだろうし、相手は神様だし?

流石に倫理に反するような内容じゃないだろうからと自分に言い聞かせる

そう、神様なのよねぇ…

改めてそう思いながら皆を見る

きっかけはどうあれ本来なら関わる事のない立場の人たちだ

こうして一緒にお茶を楽しむなんて夢のまた夢みたいな感じなんだろうね

そんな人たちが気にかけてくれてるってすごく有り難い事よね

なんてことを考えていたのが神様たちには筒抜けだということを私は度忘れしていたらしい

ふと気づくと皆が微笑ましそうにこっちを見ていた

これは恥ずかしすぎるわ…

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