第43話 進化?

沼事件の翌日、レオールは朝からアネラの側に引っ付いていた

『眠っちゃった』

デッキで昼ご飯を食べた後もずっと側にいたレオールはその温もりに包まれるように眠っていた

『まるで私の体温を確かめてるみたい』

「沼の中でどんどん体温が下がっていくのが分かってたのかな?」

『多分ね。レオールには怖い思いをさせちゃった…』

アネラは落ち込む素振りを見せた

「大丈夫よ。きっと」

『だといいんだけど…』

アネラは心配してたけど一日くっついて満足したのか夜になると元に戻っていた


「お姉ちゃんも行くの?」

ここしばらく朝はゆっくりしてる私が出かける準備をしているのを見て不思議そうに尋ねて来た

「今日は森の中の亜人さんを探してみようと思って」

「神様が言ってた人?」

「そう。2組の家族がいるらしいからね。そのうち出会えるかもしれないけど、どうせなら早めに挨拶くらいしときたいから」

「僕も行く。いい?」

「いいわよ。お友達も増えるかもしれないものね」

「うん」

嬉しそうな顔で頷いた

『あら、今日は2人?』

外に出たらアネラが駆け寄ってくる

「今日は森の中の亜人さんを探してみようと思って」

『それなら大体の場所は分かるわよ』

「そうなの?」

『ふふ…ミリアたちより森にすむ時間が長いもの』

「そっか。流石にずっと泉の側ってわけでもないのか」

考えてみれば当然のことだった

『成体になるまでは森の中を走り回る子も多いの。成体になってからは泉の側にいることの方が多いけどね』

「何か理由が?」

『特には無いと思うけど…私たちが成体になるには進化する必要があってね、その進化をすることで外への興味が減るとは聞いたかな』

進化と来た

でも外への興味が減るってことは…

「アネラも進化したら泉に戻りたくなるってこと?」

『それは大丈夫。従魔になると泉よりも主の魔力の方が心地いいから』

そういえば私の魔力を吸収してるんだっけ?

実感がないからすっかり忘れてた

「ねぇ、進化って具体的にどういうあれなの?」

『そうねぇ…体が一気に大きくなるし、体に釣り合うサイズの翼になるかな。進化するまで今のサイズのままだから』

「でも生まれてから今のサイズってわけじゃ無いよね?」

『さすがにこのサイズで生まれて来たら怖いわ。このサイズになるまでには3段階の成長時期があるよ。成長するごとに外への興味は減っていく気はするかな。あとは力も格段に強くなる』

「アネラは今でも強いよ?」

レオールの言う通りアネラは強い

大概の魔物瞬殺だしね…

『こんなのまだまだよ?』

「…そう…進化した時に驚かないように頑張るわ」

「僕はそれまでにもっと強くなる!」

『あら、じゃぁレオールと勝負しないとね』

何この好戦的な会話…

ダメだ。この話題から離れよう

「じゃ、じゃぁアネラは寂しくなったりはしない?」

外への興味が無くなるってことは泉の側にいるってことだよね?

『それは大丈夫。泉にはいつでも立ち寄れるから今のままで充分よ』

「そっか。アネラが大丈夫ならそれでいいや」

私にとって大切なのはそこだけだものね

『それにミリアの家の庭にある果物大好き。みんなも食べるの楽しみにしてるよ』

「植えたのがメルテルだもんね。多分普通の果物じゃないと思う」

『確かに…』 

アネラもその場に居ただけに一瞬遠い目をした

多分普通に植えた果物とは違う何かがあるんだろうね

深く考えたくはないけど…

「今度僕も一緒に行っていい?」

『泉に?勿論構わないわよ。でもどうして?』

「うん…お礼を言いたくて」

『お礼?』

「あの泉のお陰で僕助かったんだよね?だから」

レオールは少し考えて言葉を選びながら話してるように見えた

『皆レオールの事も大好きだから歓迎してくれるわよ』

「本当?」

『ええ』

アネラの返事にレオールは嬉しそうに笑った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る