第22話 3人の企み(side:女勇者)

「勇者様方はこちらへ」

男が4人を促した

通されたのは応接室で、そこにはすでに4人の執事のような格好をした男性とメイド服を着た女性がスタンバっていた

「え?ひょっとしてこの人たちが付くってこと?」

「どうせならもっと若い男がいいなぁ。できる?」

「お望みであれば」

「あ、じゃぁ私も」

「私もね」

アキナ、サキ、エミは満面の笑みだ


すぐに男が3人退室してすぐに若い男が3人入ってきた

「うんうん。いい感じ」

「こっちの人って顔いいよね?」

「言えてる。広間にいた人もイケ叔父多かったもんね」

そんな会話をする3人をナオトだけは冷めた目で見ていた

3人が選ぶ形で従者とメイドが決るまで時間はかからなかった


「アキナ様にはユンとシーラ、サキ様にはライとミーシャ、エミ様にはマルクとエミリア、ナオト様にはフォードとクリスで決定でよろしいですか?」

「大丈夫」

「ではお前達、勇者様達のおもてなしを」

男の言葉に8人は恭しく頭を下げ、4人をそれぞれの部屋へ案内した


「すっごい豪華な部屋よね」

「元の家一軒丸ごと入りそう」

アキナの部屋にサキとエミがすぐに訪れ話に花を咲かせる

当然従者とメイドも付いてきてドアの側で控えていた


「何か飲み物頂戴」

「承知しました」

アキナのメイド、シーラがすぐに準備を整える

テーブルにはすぐさま紅茶とお茶菓子が並べられた

初めて見るお菓子に3人は大興奮し、上機嫌でほおばる


「ライは勿論私のエスコート、してくれるんだよね?」

「…お望みとあらば」

ライは一瞬戸惑いを見せた者の頷いた

「じゃぁこっち、来て」

自分の座っている隣をポンポンと叩く

「申し訳ありません。私どもがそこに座るのは…」

「私たちの望みはきいてくれるんでしょう?」

「ユンも来て」

「マルクも」

3人の言葉にライはユンとマルクと共に顔を見合わせ、頷いてからそれぞれの隣に座った


「メイドさんたちは外に出ててね」

「それは…」

「これ、命令なんだけど」

エミがドスを利かせた声で言う

「も、もうしわけありません。失礼いたします」

エミリアが泣きそうになりながら頭を下げて部屋を飛び出して行く

それに続くようにシーラとミーシャも部屋を出て行った


「いいこと思いついたんだけど」

「何?」

サキとエミの興味津々な視線を受けてアキナはニヤリと笑う

「ねぇ、ユン」

「はい」

「私が魔獣を討伐するかどうかはあなた次第ってことにするね」

「それはどういうことでしょうか?」

ユンは明らかに困惑していた

「頑張って私の機嫌を取ってくれればいいってこと。甘い言葉とかプレゼントとか?」

「後は抱いて気持ち良くしてくれるとか、よね!面白そう。じゃぁ私が動くのはライ次第ね」

サキは隣に座るライにもたれかかった


「サキ様、このようなことは…」

「へぇ…私は別にいいのよ?ライが冷たく突き放すから悲しいって理由で動かないだけだもの」

「…」

「だ・か・ら、頑張って私の心と体を溶かしてね?あなたが満足させてくれたら勇者として動いてあげる」

「面白そうだから私も便乗しよ~っと。よろしくねマルク」

自分たちの言いなりになる従者とメイドにご満悦の3人は、前世で言う物語の中の王女様のような生活だと喜んだ

そこには勇者としての責任を果たそうとする姿勢は全く見られなかった


アキナ達が眠りに落ちた後、ユン達3人は揃って陛下に報告に向かった

成された会話や振る舞いを全て報告すると…

「若い手練れの男娼を3人すぐに手配しろ。条件は女を落として言うことを聞かせることのみだ」

その言葉にそばに控えていた男が部屋を出て行った


「いかがなさるおつもりで?」

「期待通り体から落として言うことを聞かせればいい。チヤホヤして欲しいだけなら男娼で充分だ」

「しかし彼女たちはまだ未成年です」

「構わん。元々自分から提案してきたことだろう?」

「それは…」

ユンが言葉を濁す

「所詮この国の者じゃない。あの者達は魔獣の討伐さえしてくれればそれでいい。お前達は通常の業務に戻れ」

ジャッキーの言葉には怒りがこもっていた


「広間での言葉も耳を疑った。あのような危険人物は魔獣討伐が済めば即刻処分だ」

「それは流石に…」

「気が引けるなら引き取るか?」

「それはご容赦ください」

即答だった

「ようはそう言うことだ」

ジャッキーはそう締めくくりユン達は解放された


***1時間後***

「男娼の手配が整いました」

「通せ」

ジャッキーの言葉に3人の男が入ってきた

ユン達に負けず劣らずの容姿の男達だった


「一通りの説明は済んでおります」

「…で、実行に移す意思は?」

「男娼のプライドをかけて挑ませていただきます」

「異世界の女性がいかほどか楽しみですね」

「国民も知ってる通りあまり猶予はない。香も薬も必要なら手配させる。1週間以内に手名付けよ」

「「「仰せのままに」」」

従者は男娼にチェンジされた


アキナたちは不思議に思ったもののホストさながらのリップサービスやスキンシップで簡単に納得した

ただし底の浅い3人が体を骨抜きにされる以前に男娼に依存するようになるなど、この時は誰も想像すらしていなかった

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