第18話 素材の買取
一旦家に寄ってメルテルとアネラにお留守番をお願いしてから、バッカスと町へやってきた
「こっちだ」
冒険者ギルドの裏側に回ると大きな倉庫が併設されていた
「ここが解体倉庫?」
「そうだ。入り口はここ」
バッカスは扉を開けて中に通してくれる
解体する作業場を挟んで冒険者ギルドから依頼するカウンターとそれ以外の人が解体や買い取りを依頼するカウンターが並んでいた
「大きいね」
「まぁ魔物のサイズもまちまちだからな」
「そっか。熊とかも普通にいるんだっけ」
「いらっしゃい。用件は?」
「素材の買取お願い」
「じゃぁこの台に出してくれ」
職人さんの言葉にマジックバッグから今日解体した中から使わない素材を出していく
何人かで手分けしながら確認をしては紙に何かを書き込んでいた
「買取金額はこうなるがどうする?」
そこには素材の名前と数量、単価と金額が記載されていた
複数の人が書いてるだけあってちょっと読みづらいのはご愛嬌ってところかな?
バッカスに見せると頷きが返ってきた
「これでお願い」
「ありがとよ。買取金額は現金かカードどっちだ?」
「カードにお願い」
商業ギルドのカードを渡す
慣れた手つきで処理するとカードが返却された
「また頼むよ」
そんな言葉で見送られた
「素材の相場は俺に確認しなくても素材を鑑定すれば表示されるぞ」
「え?そうなの?」
そこまで見てなかった
「試しに残してある肉を見てみればいい」
言われるまま鑑定してみると買値、売値それぞれの金額が表示されていた
「この値段を基準にして売るか売らないかを決めればいいってことね?」
「そうなるな。在庫が多ければ売値は低くなる。勿論少なければ逆だ。解体にかかった時間や倒し方によって肉や皮の素材はかなり値段が変わる」
「じゃぁ1体を解体してる間、他のはアイテムボックスに入れとくのも有ってこと?」
「時間がかかるならその方がいいだろうな。小さいものならそのまま放り込んで解体を依頼する方が賢い時もある」
すこしでも鮮度を保てるように気を配ろう
そこまでお金に困ってるわけじゃないけど、どうせならいい値段で買ってほしいもんね
「ミリアは素直だな」
「え?」
「言われることを素直に取り込むから飲み込みも早い。一種の才能だな」
「言いすぎじゃない?」
「はは…褒められ慣れてないのも好ましいな」
「ちょっ…バッカス?!…っきゃぁ…!」
顔に熱が一気に集まるほど動揺した私は、段差に気付かずこけそうになったのだけど…
「あぶねぇ…大丈夫か?」
咄嗟に体を支えてくれたバッカスも焦った顔をしていた
イケメンの部類の綺麗な顔が間近にあって心臓に悪い
「ありがと」
「今のは俺が悪い。足をひねったりはしてないか?」
「大丈夫」
踏みしめる動きをしても痛みは走らない
「ミリアに何かあったら俺の身も危ない」
「ん?」
「全ての神の愛し子だぞ?」
「あぁ…」
魔物と対峙して云々ならともかく、からかって怪我させたとなれば…ってことかな?
それはそれでどうなのかとも思うけど
「このまま一気に飛ぶぞ」
辺りに人気はない
私が返事するまでもなく次の瞬間家にいた
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