第16話 ペット?

魔法を使う練習がてら森に入って狩りをすることになった

ついてきたのはメルテルとバッカスだ

メルテルは森の中の知識を教えてくれるため

バッカスは解体の特性を使うためらしい


「ミリア、こんな風にこの木が密集してる場所を見つけたら進んでみるといいわ」

そこには行く手を遮るかのように竹のような木が密集して生えていた

実際メルテルはその密集した場所を避けてその奥に足を進める


「うそ…」

10分程進んだ先には綺麗な泉とそこでくつろぐペガサスの群れがいた


「あの木は行動阻害の魔法がかかっていて、本来であればその先に進もうと思うことは無いのよ」

「じゃぁどうして?」

「あなたが私の愛し子だからよ。ペガサスは神の意志を受けた神獣と呼ばれる魔物の1種なの」

思い思いにくつろいでいたペガサスが私たちの方に寄って来る

「綺麗」

神秘的な何かを纏うそれは確かに神獣と呼ばれるにふさわしい


『美味しい魔力ね』

「え?」

頭の中に直接響く声に辺りを見回す

『見せびらかしたくて連れてきたのね』

「そうよ。かわいい子でしょう?」

『そうね。いつでもいらっしゃい。あなたなら大歓迎よ』

「え?どういうこと?」

私はメルテルに説明を求めた

「ペガサスたちがミリアを気に入ったのよ」

一体何を気に入ったのかわからないけどありがたいことだ


「その泉の水は特別な水で欠損修復も出来る回復機能を持ってるわ」

「そんな水本当に存在するんだ…って、どうしたの?」

足元で体を擦り付けてくるぺガサスの子供が気になって仕方ない

『一緒にいたいの』

『いいわよ。この子となら』

『そうねあなたが選ぶなら反対しないわ』

よくわからない会話が流れ込んでくる

「ミリア、その子、あなたの側にいたいみたいよ?」

「え?」

その子ってペガサスの子供?

「その子に名前を付けてあげて。その子の方から契約してくれるわ」

「名前?」

「そう。ちなみに女の子よ」

ちょっと待って

ペガサスの子供に名付けって…

戸惑ってる間にも足元ではスリスリされている

滅茶苦茶可愛い

モフりたいし愛でたい。なでなでしたい


「…じゃぁアネラなんてどうかな?天使って意味を持ってるんだけど」

そう尋ねた瞬間魔法陣が浮かび私とその子を光が包んだ

『ミリア、素敵な名前を有難う』

「アネラで良かったってこと?」

『うん』

それならよかった


「ペガサスは鳴かないし他の人には何も聞こえないわ」

「会話する時はこの念話の状態ってこと?」

「そういうこと。こっちの声も別に念じるだけで問題ないわよ。ちなみにこちらの意思は読まれると思った方がいいわね」

「その状況は何か慣れたかも…」

神は皆心の中を読む

嘘は絶対に付けない

今のところ嘘を付く必要も無いんだけどね


「ミリア、ステータスを確認してみて。契約獣が追加されてるはずだから」

+-+-+-+-+-

《契約獣》

アネラ 種族:ペガサス

+-+-+-+-+-


「ってどういうこと?」

「この世界では魔物を従える場合、魔物側に権限があるの。魔物が望んでこちらが名前を付ければ勝手に契約の術式を展開してくれるわ」

「…私は名前を付けるだけってこと?」

「そう。小さい子どもなんかは可愛がってるうちに勝手に契約が成立してたってこともあるみたいね」

それは大丈夫なのかしら?

「大丈夫よ。契約した魔物が人を襲うことは無いから」

「魔物側はどうやって術式を展開するの?」

「体内に持ってる魔石に刷り込まれてるの。ちなみにペガサスに限らず念話のスキルも全ての魔物が持ってるわ。契約したいという意思がスキルの発動条件だけどね」

会話も側にいるのも魔物次第ってことか

不思議な世界って感じ


「あれ?そういえばアネラと契約が成立したってことはアネラはうち迄来るってこと?」

『だめ?』

「ダメじゃないけど住む環境整えないとでしょ」

『外で大丈夫。お水と果物があれば幸せ』

「そう?なら問題ないのかな」

ペガサスモフモフの権利を手に入れたってことで素直に喜べばいいのかしら

『モフモフ~?』

「そう。モフモフ。させてくれる?」

『うん』

アネラは変わらず足元でスリスリし続けている


「じゃぁ私たちは行くわね」

『また来てね。待ってるから』

「ありがとう」

『アネラもいい子でね』

『はーい』

微笑ましいやり取りだった

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