第15話 人柄
「ジュノーったらいつの間に連れて来てたの?」
「最初からよ。どうせ商会の時と同じようにやらかすと思ってたからね」
「まぁこんだけ品で溢れ返ってりゃ当然か」
2人からの言葉に苦笑する
この先行く先々で同じことをされそうな気がする
「そうね。相手が信頼できる人ならその方が早いもの」
「信頼できない人なら?」
「カシオンが対処する」
「え…」
即答されて顔が引きつった
「冗談よ。基本的に認識疎外が働いてれば耳にしたことも忘れるからね。ドルー親子とワズに関してはその認識疎外の対象から外しておいたから、今度からはいちいち解除しなくても大丈夫よ」
「そんなことも出来るのね」
「ミリアにも操作できるわよ。すべてはイメージ」
なるほど
なんて便利な仕組み
「この契約書、ミリアも持っときなさい」
ジュノーはそう言いながら代理登録の契約書を一束私の方に差し出してきた
「こんなに?」
「多分、それでも足りなくなると思うわよ。なくなったらまた渡すわ」
いや、そんなに契約する気ないけど
そもそも信用していい相手かもわからないし
「見極めは簡単よ。鑑定画面に人柄が表示されるでしょ?」
「そんなの表示される?」
ためしに前を歩いている人を鑑定してみた
+-+-+-+-+-
人柄:B
+-+-+-+-+-
「表示されてる…」
ビックリだわ
「人柄はA~Eの5段階でAが良い人、Eが悪い人ね。Aの相手なら認識疎外を解除しても問題ないしその契約もむしろ結んだほうがいいわ」
「?」
「大抵の場合相手にも大きなメリットがあるから」
「そういうもの?」
「そうよ。契約を結ぶのはアイデアを使っていいか問われる時、あとはレシピを望まれる時ね」
「なおかつ人柄がAの時ってことね。それなら私でも判断できそう」
「商業ギルドも冒険者ギルドと同様国の管理下から外れてる。どこの国でも同じように契約できる」
「それは便利」
万国共通ってことよね
「商会なんかは領地に税金を納める必要があるけど、登録したアイデアやレシピは国が介入することが出来ないようになってるの。そうしないと奴隷の様に使われたりすることもあるから」
いわゆる囲い込みって感じなのかな
それは嫌かも
もしそんな恐れがあるなら登録なんてしたくないしね
「そう言えば私の登録名ミリアだけだったね?」
「それはミリアの素性を隠す為よ。ユウキやミリア自体はこの世界にもある名前だけど、ミリア・ユウキで登録するのは危険ね」
まんま日本人の名前だもんね
あの子たちには確実にばれる
「だから普段表に出すのはミリアという名前のみ。本当に信用できると思う相手になら教えても問題ないわよ」
「了解」
仮にあの子たちが私の下の名前でここにたどり着いたとしても、そこにいるのは年も容姿も別人の私
同一人物だと判断するのは無理があるかな
なら私も別人として生きるだけのこと
結局この後も町をうろつき契約書が3枚消費された
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