第7話 住まい

神々の名は分かった

私に課せられたことも何となくだけど分かった

それが果たせるかは分からないけど…


次に必要なのはと考える

「住む場所の確保よね」

今居る場所は西側が森、北側が海に面した草原のような場所

森と言っても平坦なのは入り口付近だけで山と言った方が正しい感じの場所だけど

はっきり言って最高の立地だと思う


「メルテル、これは大工の特性を使うべき?」

大工の特性を与える工芸の神はメルテルの下位神だ

「それもいいけど、創造のスキルを使った方が早いと思うわよ。そうでしょう?パーシェ」

「そうだな。ミリア、まず住みたい家の外観をイメージするんだ。大きさや色、大体の形だな」

「分かった」

私はいつか住んでみたいと思っていたログハウスをイメージした


「イメージ出来たら創造のスキルを使用する。使用するにはイメージしたまま創造と念じればいい」

『創造』

念じた途端目の前にイメージした通りのログハウスが現れた


「うそでしょ…」

開いた口が塞がらないとはこういう状態なのかと思う

私が通ってたのは工業大学付属高校の建築科

こんな家に住みたいってイメージは常に更新してたから、今回のイメージはかなり詳細に出来てたはず

ってことは…

私は中に飛び込んでいた


吹き抜けの広いリビングから広いウッドデッキに続く大きな窓

大きなアイランドキッチンからはパントリーと家事スペースに続く扉がある

階段を上がれば、バスルームとウォークインクローゼット付きの寝室と洋室が2部屋、独立したバスルームとトイレに6畳の広さを設けた納戸代わりの部屋が1階にも2階にも設けてある


「さいっこう!」

イメージし続けた夢のログハウスだった

勿論家具もこんなのが欲しい!と妄想を詰め込んだものがそのまま設置されてるから文句なし


「これはなかなか…」

「落ち着くわねぇ」

ジュノーとカシオンがソファーでくつろいでいる

他の5人は家の中を行ったり来たりして探索中


「すごい。キッチン家電まで揃ってる。動力源は…魔石?」

自分のイメージにちょっと呆れながらも喜びは隠せない

「待って、パーシェ!」

「何だ?」

「冷蔵庫に食料入ってるんだけど。しかもパントリーもぎっしり詰まってるし調味料なんかも…」

「それもイメージしたんだろ?」

「…」

ソウカモネ


確かにイメージ図には色々書いていた

こんな乾物やストックをパントリーに入れて、調味料は徹底的に揃えて…とか

冷蔵庫も宣伝さながらの格納状態

念のため見てみたら食器やカトラリー、調理器具もしっかり揃ってた


さっきそこまでイメージしたつもりはなかったけど、元々描いてたイメージが自動的に引っ張り出された感じ

お陰で突然飛ばされた異世界で、これ以上ない程理想的で快適な家を手に入れることが出来たらしい

創造魔法おそるべしだわ

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