靴下

去年のちょうど今ぐらい、

カラッとした晴天で暑い夏の日。


アパートの1階に住んでいた俺は

何世紀ぶり(なんて大袈裟だけど)に

布団を干していた。


そしたら上からすとんっと

布切れが落ちてきて、

よく見たらそれは男物の靴下の片方だった。


2階に3人家族が住んでいることを知っていたから、お父さんのやつかなって思って靴下をひろった。


普段と同じように、布を掴む感じで触りにいく。


ぐにっ


「っわ!」


驚いて靴下を投げ飛ばした。


なぜって、掴んだ感触が明らかに

肉感のある人間の足首そのものだったから。


飛ばしたそれは前にある駐車場に

落ちたんだけど、

どっからどう見ても普通の靴下だった。


そこで思い出したんだけど

上に住んでる旦那さん、そういえば最近姿見てないなって。


この1週間後だったかな。


旦那さんがバラバラにされて殺されてたって知ったのは。

犯人はなんと奥さん。


あの靴下は旦那さんが

最期に身につけてたもので、

何度捨てても必ずベランダに置いてあるから、

奥さんが精神的にやられて自白して発覚したんだと。


奥さんは大人しそうな人だったから

ほんと驚いたよ。


今でも靴下を触ろうとするたび、

あの骨ばった足首の感触を思い出して

寒気がするね。


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