いないいないばあ

「ほんと短いお話なんですけど…。」と

B美さん。


結婚し3歳の娘がいる彼女は、

今年の夏休み旦那さんの実家に

お邪魔した。


義母と雑談していると

近所のスーパーに買い物に行こうかなんて

話になったので、娘を連れて行こうとしたら

そばにいないことに気がついた。


いつもはお母さんお母さんってくっついてくるのにと不思議に思って、

娘を探しに行った。


義実家に行くと和室で一人遊びすることが

あったので、きっとそこにいるだろうと

向かうと、

廊下に「いないいなーい、ばあ!おばけなのー!きゃははは!」という、楽しそうな声が聞こえてきた。


障子をすーっと開けて、B美さんは息を飲んだ。


娘がいないいないばあをしているのは、

半開きになっている箪笥。


そこに向かって楽しそうにおしゃべりしている。


「なにしてるの!?」


B美さんがかけよると、

娘はB美さんを見て、そして、箪笥の方を見て、

わっと泣き出した。



そして、B美さんに抱きつくと

「うわああん!お母さんじゃなかったあ!」

と大きな声で泣き喚いた。



何を見たか教えてはくれなかったが、

その日以来、娘は義実家に行くのを

頑なに拒むようになってしまったという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る