100円足りない

1児の母のAさんはここ数日変な現象に遭遇していた。


それは100円見落とすということ。


例えば、お釣りで600円を返されたのに、

500円だけ持って100円だけトレーに残してしまう。


ママ友に立て替えてもらったお金を払おうと、事前に全額用意したはずなのに、

100円だけ足りないと指摘され、

家に帰ってからむなしく裸で転がっている百円玉を1枚見つけたり。


とにかく、100円分の小銭が足りないという体験をしょっちゅうするのだ。



なんでこんなことが起きるんだろうと分からずにいたのだが、

ある日、子供の部屋の掃除をしていたところ、ゴミ箱の奥からくしゃくしゃに丸められたおみくじが出てきた。


そのおみくじを見てピンときたAさんは

子供に「お母さんに何か隠してることないかな?」と話しかけた。


最初こそはぐらかしていた息子だったけれど、

おみくじを見せたらとうとう白状した。


小学校の帰りに友達と近所神社によった。

そこには100円のおみくじがあるのだが、

お金を投入せずに引いてしまったという。


Aさんはおみくじがよく見たものだったので、やっぱりかと思った。


その後すぐに神社に行っておみくじの箱にお金を入れ、お参りをしたという。


それっきり、100円を見失う事はなくなった。



これは共犯の友達のお母さんも困ってるかもしれないから教えてあげないと、と思ったAさん。


息子にそれが誰か聞いて驚いた。



その子の母親は、

先日お金を立て替えてくれたのに、Aさんが100円返し忘れてしまったママ友、その人だったのだ。

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