第三幕あとがきと解説

 遂に最重要人物であるライザーさんが出てきました。

 というか第一幕から出てきてますけれどね。

 ちなみに前章のライザー・ウェルリフォートと同一人物でして生きた時代は違うけれど中身はほぼ一緒です。

 そして「ラプラスの魔」と呼ばれたラプラス・ヴァンフォート伯爵で「解脱」しています。

 きっかけは前章で《黒髪の冥王》ヴォイドと《嘆きの聖女》エルザが人として壊れかけていたことであり、名の呪いに翻弄されて地獄を見ていた二人を救済する為に因果律を変えたということ。

 変えてなお《黒髪の冥王》と《嘆きの聖女》の持つ数々の伝説は残りました。

 「ゼダの紋章」内ではライゼル・ヴァンフォート→ライザー・タッスルフォートへの改称以降は名前が変わりません。

 とわざわざ前置きしているのは、「創世神話編」(ティルト、エリザベスの息子アーサー、真のメロウことメロウリンクとMk-Ⅱの戦い)では変わるという意味です。

 なにそういう続きがあるのというのも、女皇歴1187年から1192年にあった女皇戦争というのは歴史的事実として確定していて過去編として語られているのは既にあった事をティルトくんが解析した内容(だけではないです)だからです。

 第二幕のあとがきで言っていた《黒髪の冥王》と《嘆きの聖女》の息子というのはとんでもない存在なのだというのはライザーさんのことでして、ディーンとルイスのオリジナルにあたるシンクレアとルイーゼの息子が《命名権者の砦の男》。

 ライザーさんの言う人類の叡智と過去の失敗の数々の反省で戦うというのは、第三幕で《ナコト写本》と《真の書》でナノ粒子を特定したり、寒冷化作戦で凍土化したトレド要塞近郊で芋畑を作ってなんとか食糧事情を改善するといった奇策であり、そもそもライザーさんが参考にしたと称している《キエーフ防衛戦》を主に解析したと言っていますが、その真実は戦中八話「さいごの夏の少年少女たち・・・とオッサン」内で詳細が明かされます。

 ちなみに第三幕内でライザーがポロっと口にした人類最後の都アークスというのは《終末戦争》の舞台となる未来都市であり、前述した「創世神話編」の舞台でもあります。

 問題はそれが何処にあるかということでして、実はエウロペアにはありません。

 第二幕でディーンせんせが言ってた通り、騎士因子とナノ・マシン自体が力を喪失させつつあり、ロウソクが燃え尽きる前の最後の輝きにも似た過去編のエウロペアで未来への希望と次のステージ以降への道筋をつけるというのがゼダの紋章の醍醐味であり、もう一つの希望がやはり第二幕でチラっとメリエルが回想している《円卓騎士団》(ラウンズナイツ)。

 アーサー王に由来したアーサー・フェイルズ・スターム、ルイスのオリジナルであるルイーゼ・ランスロットに由来したエウロペアの隠された最高の騎士家ランスロット家とランスロット家を構成する人物たち。

 人としての天寿を全うして過去編のエウロペアにも蘇る歴代の剣皇たち。

 そして、女神たちそのものと彼女たちの後継者であるRの血族。

 《円卓騎士団》に選ばれる基準が覚醒騎士たちだけではないという事実。

 とっくに解脱出来るのにそれをせず当事者として歴史介入してきたプロトタイプ騎士の影でしかない冥王と聖女。

 《ミュルンの使徒》とは始徒、あるいはシ徒であるという認知の罠。

 真実の番人たる偽典史家ディーン・エクセイルですら知らなかったのにメリエルが気づいたアラウネの正体。

 そういった内容が序々に明かされますが、明かす役としてライザーが本格的に出てきたということ。

 まぁ、そんな謎が謎を呼ぶ展開といよいよ本格的に《怨霊》やら伝説の怪物たちも出てきます。

 そしてエウロペアにおいてだけ誤解されてきた使徒真戦兵。

 では、ネームレスが使徒を兵器利用した場合にどうなるかという使徒真戦獣。

 フリオニールが心配していた「騎士狩り」の本当の目的とフィンツの用意した最終兵器。

 第4幕にていよいよラスボスの片割れであるフィンツ・スタームも登場します。

 そんなこんなでいよいよ楽しくなる物語の前に戦中八話「さいごの夏の少年少女たち・・・とオッサン」をお楽しみください。

               永井文治郎


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る