episode.2

警察署の内部はとても慌ただしかった。私は生活安全課の横の小さな部屋に通された。男の警察官の人と女の警察官の人とで話した。そんな話も1時間も経てば終わり、私は身体検査を受け、児相を呼ばれることになった。

警察を呼んだのは午後の始めだったのに、児相の方が来たときには日がほとんど落ちていた。児相の方には前からお世話になっていて、電話で話していたこともあったので担当さんが来てくれた。ずっと怖かったけれど、児相の人への説明も終わって、じゃぁひとまず、児相の事務所へとなった頃には震えもだいぶ収まっていた。その時着ていた有名な漫画が元のアニメのTシャツを話題にみんなで花を咲かせた。

以下は、私の語である。


今日は、家で寝ていました。ずっと体調が悪かったからです。でも、母が帰ってきてスマホを取られました。母はずっと私がスマホを持つことに反対していて、私が体調が悪いのはスマホのせいだと数日前からいっていました。私はスマホが今精神安定剤のような役割をしてくれているので取られると困ると思い、取り返そうとしました。すると母に馬乗りになられて、死にたいなら殺してやる、そして私も死んでやる。と言われました。私は死ぬんだ、ここで死んでしまうんだと思い、必死で母を下ろし、外に走りました。公民館まで走ってから110番に電話をかけました。そこまでの間に2軒のお宅のチャイムを鳴らし助けを求めましたが恐怖ですぐに立ち去ってしまいました。警察官の人に助けてもらって、ここに来ました。

私は、3歳の頃からピアノを習っていました。しかし、できないと母に殴られたり家の外に出されとても怖かったです。最近ではピアノを続けるのがとてもいやでした。また、昨年からコロナの感染が拡大し、私は学校に行かずオンラインで受けるようになりました。しかし、たまに行く機会はありました。ある日、学校に行くと相談がある。と言われました。そのことはそこまで仲が良かったわけではありませんでした。でも、普通に話すし、よくかたまることがあるグループにいました。その子は散歩しながら話そうというので、私立ならではの広さを誇る庭園を二人で歩きながら話をしました。その相談とは、スカートを履きたくないというものでした。スカートを履くことに抵抗があるという、相談よりも話を聞くに近い形で話をしました。しかし、ある瞬間彼女は脈絡もなく言いました。


"貴方、嫌われてるよね。私は嫌いじゃないけど、なんでかな。"


私は大層びっくりしました。さっきまで話していたこととはまるで関係がないし、わざわざ本人に言うことでもないだろうと思えるような内容だったからです。

ここまで2つの話をしたのですが、これらは私の主なストレスとなっていることだと思います。もう2つストレスとなっていることだと思うことがあります。

1つは、親と話すことです。私は、母だけでなく父も恐ろしかった。2人と話すのが怖くて怖くて、最近は目も合わせられない。とにかく怖いんです。

ふたりは、私にご飯を食べろと言います。でも、食べられないんです。お腹が一杯になってしまって、食べると気持ちが悪くなってしまうんです。だけどふたりは食べろとよく言います。でも、わかってほしいです。

2つは、体重の激減です。1年前よりも10kgほど落ちたんです。4日後には大きな病院に行く予定でした。かかりつけで、心因的なものであるといわれたのですが、中学生を見てくれる心療内科が近くになかったからです。

これらのことが私にはストレスとなっていたと思います。そして、体調不良の原因だったとも思います。







1年たった今。当時を振り返ると、私は馬鹿だったと思います。まず、2軒のお宅にご迷惑をおかけしてしまったことを反省しています。また、先生方の期待を裏切ったことも反省しています。そしてなによりも、自分の体調を管理できなかったことを反省しています。あのときのことがあって、後悔はありません。でも、反省は多く残りました。私は何が正しいのか、正しかったのか未だにわかりません。私はどうすべきだったのでしょうか。

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