【俺は神剣に選ばれ最強になる!】成り行きで封印を解いてやったら本好き悪魔が修行の旅についてきた~激レア外れスキルの『努力』ってどういう事だよ!~〖俺と悪魔が無双した件〗
第131話 モヤモヤを倒した後はダンジョン……
第131話 モヤモヤを倒した後はダンジョン……
人々の間をすり抜けながら見えたのは、舞台の上で金貨入りの革袋を受け取ろうとしていた『暁の狼』リーダー。その背後に浮いて振りかぶった腕で頭を殴るような軌跡をえがくアンラの姿。
なっ! おまっ! ちょっ! それっ!
念話を送ろうとしたが間に合わなかった。
アンラは手を振りきりリーダーの頭があった位置を通りすぎていた。
「ひ、ひゃひょ――」
頭はついてる。死んじゃいねえようだがリーダーは変な声を出した。
だがちょうど金貨を受け取る瞬間で、モリブデン伯爵と一緒に重そうな革袋を二人の間で持ちあっていたんだが、革袋から手が離れてその場で膝がカクンと崩れ、顔から床に突っ込んだ。
ってかデカいぞ!
まわりからは『大丈夫か!』『顔から突然倒れたぞ!』『きゃー!』『変な格好のお兄ちゃんだね』『そ、そうね、だ、大丈夫かしら』なんてのが聞こえっけど、アンラが引き抜いたモヤモヤは、巨大な二つ首の犬か狼の形を取り始めている。
『ケント、実体化する前にやって下さい! ここで剣を抜くのはまずいので鞘付きのままでも殴れば効くはずです』
舞台の上でアンラに掴まれ浮かされながらも暴れ、徐々に姿を表すモヤモヤ。
そのモヤモヤの頭の毛を掴み手を振るアンラに向かい、人々の間をすり抜け舞台に飛び上がる。
「「
ちっ! みんなにも姿が見え始めたか!
「せりゃっ!」
地面から舞台へ飛び上がり、さらに舞台から飛び上がって、二つある首の一つ、アンラが掴んでない方の首、そのアゴへ下からおもいっきり鞘付きだが殴り上げた。
『じゃあ私もっ! てりゃっ!』
ドゴンと音を立てた後、空を見上げるような格好になった犬のもう一つの首。
アンラは当たる瞬間に手を離し、ダーインスレイブを俺と同じように鞘付きで手に取り、同じように下から殴り上げた。
ほんの少しズレただけでドゴンと犬の首も同じように空を向いた。
『じゃあそっちは任せたよ~、残りは雑魚だから適当に握り潰しておくね~♪』
「おう!」
この一瞬で完全に姿を表し、もう透けているところが無くなった二首の犬。
クロセルを今度は鞘から抜いて、首と首の間に振り落とす。
「だぁーりゃっ!」
空中で振り切った時の勢いを利用して、くるりと前回りで宙返りをし、今度はクロセルに魔力を流して魔力の刃を伸ばし、今度は首を飛ばすつもりで横方向に振り抜いた。
ズバスバッと確かな手応えが伝わる。
少し間があった後、ドスッ、バキバキと落ちた首、体の重さに耐えきれず、足元の舞台が潰れる。
「なんだこれは!」
「オルトロス! 伯爵危ない!」
「「
残りの四匹はアンラが握り潰し、ダーインスレイブと爪で切り裂き浄化したのか、空に向かって登り消えていく。
あたりは突然現れた巨大な魔物のせいで混乱が広がり、舞台の上にいたモリブデン伯爵にぶつかるようにして崩れる舞台から飛び退くギルドマスターが見えた。
俺も巻き込まれないように後ろに飛び退き、空中でクロセルをしまい逃げ惑う群衆の中に着地したんだが――っ!
「どわっ! あぶっ! くのっ!」
突然上から来た俺を避けることも無く、そのまままっすぐ突っ込んでくる人達を避ける。
ほんの少しの時間であんなに密集していた舞台前は、誰もいなくなり、壊れた舞台と、オルトロスだったかが広場の真ん中にあるだけとなった。
「ケ! ケントくん! 大丈夫、怪我してない!」
広場から伸びる道から群衆を押しのけ走り出てきたユウ姉ちゃん達。
俺は手を上げ無事を知らせたところへ、上から姿を現したアンラが俺の横に着地し腕を絡ませてきた。
「お疲れ様ケント。危なかったよアレ、オルトロスはそこそこ動きが早いから動き出す前に倒せて良かったね~」
「ふう。だな、しっかしダンジョンの記録更新は良いけどよ、あんなのは連れてくんなって……ってかよ……あの五人……下敷きか?」
「あっ……四人はレイスを抜いた後蹴り飛ばしておいたけど、最初の人って……あっ」
舞台の潰れた方へ目を向けると、うつ伏せでケツを上げた格好で落ちた首の横に潰されずにいた。
いたんだが、動かねえ。
「とりあえずあの首、今にも倒れそうだな。クロセル、頼めっか?」
『はい。オルトロスならワイバーンと合わせて良い革製の装備が作れると思いますよ』
そこへユウ姉ちゃん達が合流したんで、オルトロスを収納してここから一番近い第一のダンジョンへ向けて歩きだす。
「え? ケ、ケントくん? あの、このまま行っちゃうの?」
「ん? ユウ姉ちゃんはこの後ダンジョンもぐれなくなっても良いんか? 今ここから抜けておかなきゃ質問責めで面倒だろ?」
「だよね~。みんな何が起こったか混乱している内に~、ここから逃げちゃうのが面倒なくて良い
たしかこの広場からすぐのところにある、教会の横に第一ダンジョンへの入り口があったはずだ。
教会の場所はここに来る時に見ていたから迷うこともない。
細くとんがった屋根が目印だ、こっからも見えてっしな。
俺達七人は、広場からまっすぐ見えている教会の屋根を目指して進む。
教会へ続く通りに集まった人垣は俺達が近づくと左右に割れて道を作ってくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます